Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 9. Don't judge by appearance
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カタナ単発攻撃《浮舟》を叩き込んだ。黄緑の光を帯びて下段から斬り上げた刃が、錆びた剣を握る腐った手ごと胴を抉り飛ばす。重い刀を引き戻し、背後に迫っていた一体にカウンターの一閃を当て、さらに追撃の正拳突き《閃打》を顔面にブチ込んでトドメを差す。空いたスペースに身を躍らせ、ノロノロと集まってくるゾンビ四体の包囲網から脱出した。
「助太刀は要るか? ヤンキー侍殿」
そう遠くないところから、茶化すような軽いノリの声が聞こえた。戦闘中によそ見は出来ないためにそっちは見れないが、見なくても誰だかは分かった。
「いらねえよ。むしろジャマだ、手ぇ出すんじゃねえぞキリト」
「そっか。なら、俺はここで観戦してるかな」
「いや見てねーでどっか行けよ――っと!」
迫ってきていたゾンビ剣士の剣を数歩下がって躱す。肉が物理的に削がれた痕のある細腕のクセに、振っているのは身の丈を超えるようなサイズの両手剣。錆びついてても正面から受けた時の衝撃はバカにならない。受け止めて力づくで押し返してやりたくなるのをグッと堪えて、最小限の動作とスピードで回避してから、
「まとめて、くたばれ!!」
鋭く一歩踏み込んで、一気に斬り捨てる。半円状に広がって俺に群がろうとしていたゾンビ剣士四体は、濃紺のエフェクトを帯びた刃をモロに受けて吹き飛んだ。が、HPバーは全く減らない。そのまま怯むこともなく鈍い再突撃をかけてくる連中を見据えながら、俺は血糊払いの動作をしてから、腰提げに変えていた鞘にゆっくりと納刀。そして、
「……大人しく死んどけ、クソゾンビ」
パチリ、と納めきった瞬間に、四体が同時に爆散した。
斬撃が当たった瞬間にはノックバックしか発生しないが、納刀モーションを五秒以内に完了することで、敵にスタン付きのダメージを与える広範囲攻撃《矢筈》。初期から存在するスキルにしてはテクニカルだが、攻撃の流れがかっこいいんで使ってみた。
敵の殲滅を確認して一息吐きながら、やっぱり腰に鞘があると落ち着かねえな、と思い剣帯を背負うようにして付け替えていると、パチパチと気のない拍手が聞こえてきた。
「おー、なんか侍って感じの動きだな。お前はもう死んでいる、ってやつだ」
「うるっせーな。つかオメーまだいやがったのかよ」
背負い直した刀の具合を確かめつつ、刀のついでに新調した襟なしのロングコートの裾を翻して、俺はキリトの方を振り返った。他人との干渉を避ける傾向の強いコイツが、自分から話しかけてくるのは珍しい。何か用か、あるいは目的でもあんのか。
「何の用だ。なんか刀使いが要るイベントでもあんのかよ」
「そんなに警戒しなくてもいいじゃないか、知らない仲じゃないだろ」
「知らねえ仲じゃねえから訊いてんだ。ソロの中でも人付き合いのわ
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