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Deathberry and Deathgame
Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 9. Don't judge by appearance
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? ンなモン大して気にしねえよ。敵が斬れることには変わりねえだろ。余計な効果もなくて、シンプルでいいじゃねえか。
 それに、見た目が変わってるほど、中身はすげえモンだって昔から相場が決まってんだ。コイツもそーゆーモンの一つだったってだけだろ。むしろ俺は、その辺の小奇麗な剣よりも、こっちの方が愛着が湧く気がすんな」

 そう、周りと同じってのよりも、独特の姿をしてた方が「俺の武器」って感じがする。要求通りの攻撃力も備えてるし、それに、この飾りの一切ない刃そのものの簡素極まる出で立ちが、ひたすらに敵を斬り続ける日々を送ってる今の俺には合っているように思えたんだ。

「つうかよ、捨てずにちゃんと取っといてるってことは、アンタもコイツが大事なんだろ? そんなに自分の作った武器をけなさなくてもいいんじゃねえか? 自信持てよ、いい刀なんだから」
「ほ、ほんと!? ……やった!!」

 そういうと、女子店主は屈託のない満面の笑みを浮かべた。口では見た目がどうのとか言ってても、やっぱり出来を褒められて喜ぶくらいには愛着があったみたいだ。まあ、自分で鍛えた武器に思い入れがねえワケがねえよな。飾りっ気のない本当にうれしそうな笑顔に、小さなガッツポーズのオマケつき、なんていうコイツの純粋な喜びのポーズを見てると、そう感じると同時に柄にもなく少しだけ照れくさくなる。
 それを隠すためってわけじゃないが、喜色満面の女子店主との売買を成立させた俺は、買ったばかりの刀をストレージには入れず、その場で装備した。黒革の鞘に収まった刀が俺の背中に現れると、女子店主の笑顔がさらに輝いた。照れくさい感じが増して、むず痒いような感じがしてくる。

「……んじゃ、機会があったらまた頼むわ」
「もっちろん! あ、あたし、リズベットっていうの。ちゃんと覚えといてね!」
「ああ、一番最初の刀を買った相手だ。覚えとくぜ。そんじゃあな、リズベット」
「はい! ありがとうございました!!」

 少しだけ震えた声で、お決まりの接客業らしい礼をする女子店主――リズベットに俺は片手を上げて応え、露店を後にした。
 歩くたびに肩に食い込む剣帯の重い感触は曲刀にはなかったもので、まるで久々に斬月を背負っているかのような懐かしさと頼もしさを俺は感じていた。



 ◆



 最初の刀を手に入れて密かにご満悦の俺は、試し斬りをするために勝手知ったる19層の迷宮区に単身で来ていた。俺の武器慣らしに付きあわせるのも悪いんで、リーナには「刀買ったから慣らしにいってくる。晩メシは先に食っちまってくれ」というショートメッセージを投げておいた。一分後に「いってら」とだけ返ってきたから、不服はないらしい。

「フッ!」

 遺跡エリア東部に出現する紫ゾンビ剣士『パープルデッド』に、
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