Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 9. Don't judge by appearance
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人かのプレイヤーの姿。
「……そうだ、露店を漁るって手があるじゃねえかよ」
露店ってのは、まだ自前の店が持てない職人・商人クラスの連中が商売をするために設置する簡単な売買スペースだ。NPCよりもプレイヤー連中が多くを占めていて、中に腕利きが混じってれば、良い掘り出し物にありつけるかもしれない。あればラッキー、ぐらいの確率だろうけど、見ておくに越したことは無いだろ。そう思い、俺は露店を一つずつ見て回る。
「いろいろあるのは良いが……やっぱ、服飾品とか消耗アイテムみてえな、コストが低いモンしか売ってねえか。そりゃそうだ。まだ全体の五分の一も攻略できてねえ今、武器防具を最前線の街で売れるクオリティで造れる奴なんていな……あ?」
露店の半分も見ないうちに諦めモードになっていた俺は、ふと一つの露店の前で立ち止まった。
地面に広げられた麻のシートの上には、剣、槍、斧、ハンマー。木箱の上には短剣とピックが何本か並べられている。その横には盾が数種類、台座に掲げられていた。
あった、武器屋が。
とりあえず人の流れから抜け出し、露店の前にしゃがみ込んで展示品を眺めていく。武器の種類と数はそれなりにあるみたいだが、刀がなくちゃここに来た意味がない。さて、並んでる中にあるかどうか……。
「あのー、何かお探しですか?」
「……あ?」
刀を見逃さないよう注意深く武器を見ていた俺は、前方からかけられた声につい胡乱な返事をした。顔を上げると、そこにはフードを被った女子の顔。武器屋なんてやってっから、てっきり男だとばっか思ってたが、こんなヤツが店主だったのか。ちっと意外だ。
全体的に小作りな目鼻立ちと丸っこい瞳を持つその顔立ちは、かなり幼く見える。少なくとも、俺より三つか四つは下だ。何やら緊張とビビりが半々、みてえな表情をしてるが、俺としては不本意ではあるが見慣れたモンだ。初対面の後輩連中は、大多数がこういう面をしてたからな。
まあその辺は今はどうでもいい。店主がいるなら直接訊いちまった方が早いし、その方が確実だ。
「ちょっと新しい刀を探してんだ。アンタんトコで扱ってねえか?」
「は、はい。刀は、えーっと、こちらになりますね」
女子店主はそういって、三振りの刀を提示してきた。受け取って一つ一つの性能を確認していくが、
「うーん……確かに性能はNPCんトコのには勝るが、火力が足んねえな」
そもそも刀自体、どっちかと言えばスピード系の武器種だからか仕方ないんだが。しかしこの性能じゃ同格相手ならともかく、格上相手の前衛はキツい。リーナが蔦の化け物のドロップでゲットしたダメージ率補正効果のついた手甲『メサイアの碑』と、そう変わらなくなっちまう。
これはもうこういうモンだって納得して買うし
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