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真田十勇士
巻ノ二十五 小田原城その二
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「城の中に入ろうぞ」
「はい、さすれば」
「これから城の中に入り」
「街を見て回りますか」
「そうしようぞ」 
 家臣達にこうも言ってだった、幸村主従は小田原の城の門のところに来た。その門のところには兵達がいたがだ。
 兵達は彼等を見てだ、こう言ったのだった。
「うむ、通ってよし」
「旅の芸人達じゃな」
「随分と奇妙な身なりをしておるが」
「これまた変わった芸人達ではあるがな」
「ははは、わし等は確かに変わっておるな」
 猿飛が兵達の言葉に笑って応えた。
「言い得て妙じゃ」
「うむ、そうじゃな」
 その通りだとだ、幸村も笑って猿飛に応えた。
「我等の姿は確かに変わっておる」
「ですな、確かに」
「傾奇者ですな」
「ふむ、近頃都に出ておるという」
「あの者達か」
 兵達は傾奇者と聞いて今度はお互いで話した。
「それがこの者達は」
「坊主や侍に近い格好の者達もおるが」
「こうした格好の者達が傾奇者か」
「そうなるか」
「そうなるであろうか」
 幸村は兵達にも応えた。
「我等は」
「まさか東国にまで来るとはな」
「御主達の様な者が」
「しかしそれならそれで面白い」
「身なりは妙じゃが怪しい者達でもない」
「ならば通れ」
 兵達は幸村達にこう言ってだった、一行を城の中に入ることを許した。だが彼等が城の中に入ってからだった。
 兵達は彼等だけでにやりと笑ってだ、後ろにいる影に言った。
「これで宜しいですな」
「真田家の次男殿と家臣達確かに城の中に入りました」
「それではですな」
「我等の仕事は済みましたな」
「うむ、どちらにしろあの者達は無体はせぬ」 
 影は兵達に答えて言った。
「だからな」
「これでいい」
「左様ですか」
「では我等は本来の兵達と見張りを交代して」
「そして、ですな」
「ご苦労であった」
 こう言ったのだった、そしてだった。
 彼等は本来の兵と交代して姿を消した、影もだった。
 何処かへと姿を消した、だが幸村達はその彼等を見ることなく街の中に入っていた。その小田原の街はというと。 
 道は都程ではないが整い家や店も整然としている、その街中を見てだった。
 幸村は唸ってだ、こう家臣達に言った。
「こうして整えていなくてはな」
「ならないと」
「そうなのですか」
「そうじゃ」
 まさにという言葉だった。
「城の中にある街だからのう」
「整えていなくてはですか」
「人が収まらない」
「そうなのですな」
「城下町ならばな」
 幸村は本朝の大抵の街について話した。
「門前町でもじゃが」
「城の周りや寺の周りにですな」
「どれだけでも拡がっていける」
「本朝ではそうした街が主ですが」
「それが城の中にありますと」
「堀と石垣
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