Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 6. Die Hard’s Daily Life
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帰りたい。
「リーナ、時間ももう遅えし、転移結晶使っちまおうぜ。歩いて帰ったら夜になっちまうしよ」
「却下、緊急時でもないのに勿体ない」
「けどよ、お前、この前『6時からのディナータイムの混雑の中を、お店探して歩くのはもう勘弁』って言ってたじゃねえか。俺ら、今こんなダンジョンのどん詰まりいるんだぞ? こっから全力ダッシュしても、街までは確実に一時間は掛かるだろ」
「う」
「それに、今日は七番街のレストランで、特製ヒュッツポットとロークウォルストの盛り合わせ、だっけか? それが日替わりディナーで出る日なんだろ? 遅刻したら食えなくなるんじゃねえの?」
「うぅ……」
「んで、その後にゴーダワッフルの屋台とか行くんだろ? どーせ。
あそこ、すげえ人気だからな、夜遅いとめっちゃ並んでてメンドイだろうな」
「………………仕方ない」
食事以外は、というか食事で金を湯水の如く使っている反動で、普段は倹約家なリーナは説得の末にしぶしぶ転移結晶を取り出した。街まで一瞬で飛べる優れものなだけあって値が張るんだが、やっぱり食欲には勝てなかったらしい。いやー、舌噛みそうな料理の名前を丸暗記しといて良かったな。どんな料理かはさっぱり忘れちまったが。
「一護 早く行こ。ご飯が待ってる」
「ああ、ワリーな。そんじゃあ……」
「「転移、パルドブロム!」」
すでに食べ物のことで頭が満タンらしいリーナと共に転移コマンドを唱えると、俺たちの周囲を水色のエフェクトライトが満たし、次に目に飛び込んできたのは、鮮やかな橙の夕日に照らされた19層主住区『パルドブロム』の暖かな街並みだった。
この『パルドブロム』ってのは、どっかの国の言葉で「タンポポ」を意味するらしい。俺の髪色を揶揄されてるようでちょっとイラッとくるが、自意識過剰と自分に言い聞かせて封じ込める。その街名にちなんで、なのは知らねえが、この街は今いる転移ゲートから放射状に大通りが伸びた、タンポポの花のような形状をしている。ちょうど真北に伸びる道とその両脇の商店街が一番街、そこから時計回りに番号が上がっていく。
個人的には非常にわかり易くていい街の構造だと思う。瀞霊廷なんかムダに入り組んでる所為で、偶に行くと確実に迷う。そうホイホイ行く場所でもねえから別に困らねえんだけど、もっと単純な構造の方が使い勝手がいいだろ、とか思っちまうのは素人の浅い考えってヤツなんだろうか。
「一護、はりーあっぷ」
俺のショートコートの裾を掴んだリーナが急かす。どうでもいいけど、コイツの英語ってたまにカタコトになるんだよな。欧米人とのハーフっぽい「英語できますよ」って感じの顔立ちに似合わず英語が苦手なのか、それともワザとやってんのか?
……って、そうだ、ボケッとしてる場合じゃねえ。せっかく
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