Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 6. Die Hard’s Daily Life
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んてのも存在し、一部は街の掲示板に危険地帯として張り出されている。イベントでもない限り、死んだら終わりのこのゲームで、そんなところにわざわざ突撃するような十一番隊みたいな連中はここにはおらず、現にここ二か月間、俺たちがそういう「危険フィールド」近くで会った他のプレイヤーの数は十人にも満たない程度だ。ここは荒らし回ろうがなにしようが、誰も来ないので誰にも文句は言われない。HPバーが二日に一回は赤くなるという地獄さえ我慢すれば、危険地帯はある意味最高の狩場だった。
そうやって俺たちは敵を狩り続け、スキルを磨き、たまに行われるボス攻略に顔を出しながら、ひたすらに自分の腕を磨いていった。全ては解放の日のため、生きてここから出て、茅場晶彦をブン殴るために。
そして時は流れ、今は一月末。攻略の最前線は19層になっていた。
◆
「ラストぉ!!」
動きが鈍くなるどころか、じりじりと後退し始めた狼神官の最後の一体に、俺の《タイガークロウ》が直撃した。茜色の閃光が深々と喉元を食い破り、弱弱しい唸り声と共に神官が消滅する、
と同時に部屋の出口が開き、手元には討伐完了を表すリザルトウィンドウが表示された。
「ふう、終わった終わった。つうか斬った斬った、って感じだ。結構疲れたな」
「碌に抵抗しない神官を滅多斬りにしてただけでしょ」
「オメーがレベル上がったからとか言ってバックレてからは、全部俺一人で斬ったんだよ! つうかオメーも体術スキルで一方的にブン殴ってたろーが。戦闘中なのに納刀しやがって、調子に乗って大ケガしても知らねえからな」
「舐めプって、一回やってみたかったの。後悔はしてない」
「自分と同レベル相手に舐めプってオイ……俺が言えたことじゃねえけど、しくじったら死ぬぞそれ」
「いつものこと。それに、相手の攻撃に当たらなければ、どうということはない」
済ました顔でレベルアップによるステ振りを続けているリーナを見て、俺はため息を吐いた。
格上との連戦で着々と戦闘技術を高めてきたリーナは、体術スキルを手にしてから攻撃の鋭さに一層磨きがかかった一方で動きがどっか危なっかしくなってきた。今回もそうだが、常に限界を攻めて自分を追い込んでいるように見える。
別に悪いことじゃないし、本人も自棄になってたりキツそうにはしてたりはしない。むしろ(俺が見てる範囲では)楽しそうにやっているので、偶にこうして釘を刺すくらいにしている。どうせ言ったって聞きゃしないのは分かっているから、本当に偶に、だけどな。
手にした剣を背負った鞘に納めて、俺は時間を確認した。戦闘開始からまだ十分ほどしか経っていない。とはいえ、夕飯時はどこの店も混む。席を確保するのに苦労してリーナの機嫌が急降下するメンドクサイ事態になる前に
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