Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 6. Die Hard’s Daily Life
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宝箱。
文字通り、お宝の入った箱のこと。
ゲームの中じゃ、通貨とか消費アイテムとか、偶にいい装備が入ってたりする重要な要素であり、ダンジョン攻略の楽しみの一つでもある。
今、俺の目の前にある金色の小さな箱も、その一つだ。
「リーナ、どうだ?」
「……ん、当たりっぽい」
「ったく、やっとかよ……で、当たりの程度はどんなモンだ?」
「二等賞」
「上等だな」
「だね」
『解錠』と『索敵』の複合スキルである『解析』を使っていたリーナと言葉を交わしつつ、俺は周囲を見渡す。殺風景な灰色の壁面に、燭台の朱い灯火が頼りなく揺らめいていた。
迷宮区の東端にあった石造りの遺跡。その中の一番奥の部屋に俺たちはいる。出入り口は入ってきた扉一つで、窓はない。部屋の形状は一辺が十メートル強の正方形、障害物は無し。そして部屋のど真ん中に、金色の宝箱が置かれていた。
「……じゃあ、開ける。一護、準備はいい?」
「おう」
リーナは宝箱の鍵穴の辺りでゴソゴソと手を動かして、ロックを解除。そのままスッと蓋を開いた。
途端、凄まじく耳障りな警報音が大音量で鳴り響き、同時に出口が閉じた。
さらに、蛮刀を携えた狼頭の神官が、俺たちを取り囲むようにズラズラと出現した。全く同じ見た目のモンスターが狭い部屋の四方を埋め尽くす光景は、中々迫力がある。いつの間にか赤黒い色へと変貌していた灯火が、イヤな雰囲気を加速させていた。
そう、宝箱に入っている物は、プレイヤーに得なものばっかじゃない。罠だって当然ある。その中でも最悪の部類に入るトラップ『モンスターハウス』に、俺たちは引っかかったんだ。
俺たちの、望み通りに。
「獣人系神官モンスター『ファラオソルジャー』、レベル29、数は二十体。まあまあね」
「ああ、せっかくこんな陰気くせえトコまで遠征してきたんだ。こんぐらい出て来てもらわなきゃ困るってモンだ」
俺は背負っていた曲刀『グローアーチ』を抜き、肩に担ぎつつ腰を沈める。背後でリーナが短剣『スプリント』を抜剣する音が聞こえた。
最後に周囲をぐるりと見渡して、これ以上モンスターが湧かないことを確認してから、俺たちは背中合わせになり、
「んじゃあ、いつも通りに……」
「うん、全員まとめて……」
「「叩き斬る」」
同時に突撃した。
俺はソードスキルを起ち上げつつ前方の敵に肉薄、手にした蛮刀が振るわれる前に、
「遅えっ!!」
一気に間合いを詰めて赤く光る刃を胴に叩き込んだ。血のような色のエフェクト光と同時に『Critical Hit!』の文字が明滅し、相手のHPがゴリゴリ減っていく。
発動直後に地を這うような低姿勢で高速ダッシュ、肩に担いだ刀身を
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