3部分:第三章
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第三章
「私はそんな」
「いいや、あんたが悪いわよ」
「そうよ」
理美と沙耶はまた千里に言い返した。
「だからよ。わかったわね」
「謝っておきなさいよ」
「嫌よ」
今度ははっきりと言い切った千里だった。
「私は絶対にね」
「やれやれ、こりゃ駄目ね」
「どうしようもないわね」
今の千里の言葉を聞いて二人はこれ以上言うのを止めたのだった。
千里は二人にもぷい、と背中を向けてそのうえでクラスから出た。貴匡も彼女の方を見ようとしない。卓也と六郎もそんな彼を見て苦い顔になっていた。
「このままいったら」
「破局か?」
二人は最悪の事態を想定せざるを得なかった。
「どうしたらいいんだろうな」
「このままいったらな」
二人はあれこれ考えだしていた。そうして同時にだった。理美も沙耶も彼等と同じ様に暗い顔になってそのうえで話をしていた。
「あいつ、自分が悪いのにね」
「あれはないでしょ」
こう言って話し合うのだった。
「このままいったら本当に」
「困ったことになるわね」
彼女達もまた最悪の事態を考えていた。このままでは、と。そして彼女達はあることを思いついたのだった。
「やっぱりここは」
「私達で何とかするしかないわね」
こう話すのだった。
「あのままじゃ千里意固地になるばかりだしね」
「こっちでね」
「とはいってもよ」
「問題は」
何とかしようと言ってもだった。具体的に何をするかというとどうにも思い付くことがなかった。何をしようかというとなのだった。
「どうしようかしら」
「何か考えある?」
沙耶が理美に尋ねた。
「あんたには」
「いえ、何も」
こう答えるしかない理美だった。
「思いつかないのよ、これが」
「私もなのよね」
沙耶もまたここで溜息を出すだけだった。その大きな胸だけが目立っていた。
「特にね。思いつかないのよ」
「どうしようかしら」
理美は困り果てた顔で言うだけだった。
「それで」
「どうにかしないといけないけれどね」
「それはわかってるけれどね」
二人ではどうしようもなくなっていた。そしてそれはもう一方も同じだった。
「おい」
「ああ、それだろ?」
六郎が卓也に応えていた。
「あいつな。どうしようかな」
「何か考えあるか?」
卓也は六郎に対して問うのだった。
「何か。あるか?」
「そう言われてもな」
だが六郎は首を傾げさせてそう述べるだけだった。
「俺も。どうすればいいんだ?」
「俺もそれがわからないんだよ」
卓也もこう言うだけだった。
「何をどうすればいいのかな」
「わからないよな」
「さっぱりな」
こう言い合うだけの二人だった。
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