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竜から妖精へ………
第8話 ゼクト vs ミラジェーン
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「え……?」

 だから、ミラは少し驚いていて、ゼクトの目を見た。その声は、一瞬だけど、凄く柔らかくて、何よりも優しく感じた。

「オレは、ギルダーツにも言ったし、初めにも……似たような事言ったけど、……女の子と戦うなんて、本当は嫌だった。……それは、君と戦うのが嫌だ、って事じゃないんだ。……オレは ナツとは戦ったけど、でもキミは嫌だ。って言うのじゃなくて……女の子を傷つけるなんて……、男がすることじゃないからって…、でも、そう思って戦う事、それ自体が、キミに対しての侮辱だったんだよ……ね? ……キミを、結果的に、傷つけて、本当に、ゴメン……なさい」

 ゼクトは手をださない、そう、攻撃しなかった事、女だから戦いたくないって思ったこと、それが相手に対して侮辱だった。最低限度の攻撃手段だけをして、直接的な攻撃は全くしなかったのだ。

 でも、それが相手の目には手加減だと映った。無論、全力で回避をしたし、攻撃の手段にも全力を尽くした。だけど、そうは見えないだろう。……だから、わかってなかった。勘違いしていた……。

 だから、ゼクトは頭を下げていた。

「え……え? なん…で?」

 ミラは、ゼクトから怒られたり、罵られたり、何を言われても、何を言われても仕様がない、当然の報いだ、と思っていたのに。ゼクトの口から出た言葉は、全く考え付かないような事だった。

「わたし……アンタに負けたのにっ、こんな事言って…なのになんで? なんで、アンタが、頭を……」

 だから、ミラは思わずそう言っていた。

「オレ……、このギルドが大好きなんだ。だから、皆と仲良くしたい……。皆、皆……大好きで。 ……でも…オレが考え無しに、そう言う戦い方をして……キミを傷つけたから、……本当に申し訳ないなって思ったから」


 『そんなのは、勝者がすることじゃない。敗者にそんなことをするなんて……だから、それも私に対する侮辱なんだ!』


 そう、ミラは言ってしまいたかったけど、口から出る直前に、飲み込んだ。

 心から、このギルドが好きで、本当に皆と仲良くしたい。
 
 その言葉が嘘偽りなくと言う事が判った。心に響いてきた。だから、言えなかったのだ。

「あ…う……」

 ミラは、何を言っていいのか判らなかった。

 そんな時だ。


「ほら。ミラ」


 固まっていたミラを、ギルダーツがひょいと手を握って引っ張りあげた。

「きゃっ!」

 ミラは、突然手を引っ張られた事に、驚いていた様だ。それ程、今 周りが見えてなかったようだ。

「ミラよぉ。悔しいって思う事はいいんだぜ? ……今、お前はゼクトっつー目標を知ったんだ。どんどん強くなる為の一歩。歩き出す為の一歩をな? 何も恥じる事なんか
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