暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 1. 『ゲームの中に入ってみたいと思ったことは?』
Episode 4. Crime and Punishment
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た目から、涙が一滴、零れ落ちた。



 ◆


 オイオイと男泣きしだしたディアベルとキバオウを放置して、俺はリーナのところへ向かった。さっきまでの不機嫌オーラがすっかり静まっている辺り、やっと機嫌が直ったのだろう。

「……おかえり、バカ一護」
「大バカからバカに格上げされても嬉しくねーよ。バカが余計だっつってんだ」
「反省したらやめてあげる。特に、斬撃を突きで弾くとかいうヘンタイ攻撃について」
「ヘンタイじゃねえよ。ったく口の悪い……あ、そうだ」

 軽口を交わしていた俺は、ふと思いだし、F隊の男剣士に向き直った。

「ボスのフェイント、教えてくれてありがとな。おかげで避けられた」
「え? ああ、大したことじゃないさ、瀕死だったとはいえ初見のボスを単独撃破した、なんて快挙を成し遂げた、あんたに比べればな。
 それに、多分だけど、俺が警告しなくても避けられただろ?」
「さーな、終わっちまったからわかんねえよ」
「嘘つけ、ちゃんと太刀筋を見切って目で追ってたクセに。
 ところであんた、えーと……」
「一護だ」
「一護、ラストアタックボーナス、なんか出たのか?」

 そう言われて、俺はボスを倒した直後に出た一枚ウィンドウを思い出した。

「ああ、そういやなんかアイテムが出てたな。確か…………これだ。『コートオブミッドナイト』って防具だ」

 アイテムボックスの一番上にあったそれは、確かにラストアタックボーナスとして手に入れたと表示されたアイテムだった。
 試しにと思い装備してみると、真っ黒いコートが実体化した。卍解のときのヤツと違って分厚く重そうな見た目をしているが、腕を動かしてみると、思いの外動きやすい。剣を振るのに抵抗にはならないだろう。

「そいつには確か、敏捷力にけっこうなプラス効果が付いてるはすだ。序盤の防具の中じゃ、かなり良いものらしい」
「へー、そりゃラッキーだ。
 にしてもアンタ、ボスの武器が変わってるのに気づいたり、フェイントなのを知ってたり、ずいぶん詳しいんだな。アレか、ディアベルと同じベータテスターってヤツか」
「……ああ、そうだ」

 少し躊躇する素振りを見せたが、男剣士は素直に肯定した。やっぱり、ベータ経験者ってのは、明かしたくないもんなんだろうか。ゲームの中なのに格差を気にしなきゃなんねえとか、面倒くせえな。

「まあ、なんだ。そんなに気にすることもねえんじゃね? アンタが経験者ってのをひけらかすことさえしなきゃ、どうにでもなんだろ」
「軽く言ってくれるなあ、お前。あと、俺はキリトだ。アンタじゃない」
「そうかよ。じゃあキリト、一つ訊くが、ベータテスターってのは、滅多にいないもんなのか?」
「ベータテスターは全員で千人ってところだ。全員ログインして
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ