Chapter 1. 『ゲームの中に入ってみたいと思ったことは?』
Episode 4. Crime and Punishment
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た目から、涙が一滴、零れ落ちた。
◆
オイオイと男泣きしだしたディアベルとキバオウを放置して、俺はリーナのところへ向かった。さっきまでの不機嫌オーラがすっかり静まっている辺り、やっと機嫌が直ったのだろう。
「……おかえり、バカ一護」
「大バカからバカに格上げされても嬉しくねーよ。バカが余計だっつってんだ」
「反省したらやめてあげる。特に、斬撃を突きで弾くとかいうヘンタイ攻撃について」
「ヘンタイじゃねえよ。ったく口の悪い……あ、そうだ」
軽口を交わしていた俺は、ふと思いだし、F隊の男剣士に向き直った。
「ボスのフェイント、教えてくれてありがとな。おかげで避けられた」
「え? ああ、大したことじゃないさ、瀕死だったとはいえ初見のボスを単独撃破した、なんて快挙を成し遂げた、あんたに比べればな。
それに、多分だけど、俺が警告しなくても避けられただろ?」
「さーな、終わっちまったからわかんねえよ」
「嘘つけ、ちゃんと太刀筋を見切って目で追ってたクセに。
ところであんた、えーと……」
「一護だ」
「一護、ラストアタックボーナス、なんか出たのか?」
そう言われて、俺はボスを倒した直後に出た一枚ウィンドウを思い出した。
「ああ、そういやなんかアイテムが出てたな。確か…………これだ。『コートオブミッドナイト』って防具だ」
アイテムボックスの一番上にあったそれは、確かにラストアタックボーナスとして手に入れたと表示されたアイテムだった。
試しにと思い装備してみると、真っ黒いコートが実体化した。卍解のときのヤツと違って分厚く重そうな見た目をしているが、腕を動かしてみると、思いの外動きやすい。剣を振るのに抵抗にはならないだろう。
「そいつには確か、敏捷力にけっこうなプラス効果が付いてるはすだ。序盤の防具の中じゃ、かなり良いものらしい」
「へー、そりゃラッキーだ。
にしてもアンタ、ボスの武器が変わってるのに気づいたり、フェイントなのを知ってたり、ずいぶん詳しいんだな。アレか、ディアベルと同じベータテスターってヤツか」
「……ああ、そうだ」
少し躊躇する素振りを見せたが、男剣士は素直に肯定した。やっぱり、ベータ経験者ってのは、明かしたくないもんなんだろうか。ゲームの中なのに格差を気にしなきゃなんねえとか、面倒くせえな。
「まあ、なんだ。そんなに気にすることもねえんじゃね? アンタが経験者ってのをひけらかすことさえしなきゃ、どうにでもなんだろ」
「軽く言ってくれるなあ、お前。あと、俺はキリトだ。アンタじゃない」
「そうかよ。じゃあキリト、一つ訊くが、ベータテスターってのは、滅多にいないもんなのか?」
「ベータテスターは全員で千人ってところだ。全員ログインして
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