Chapter 1. 『ゲームの中に入ってみたいと思ったことは?』
Episode 4. Crime and Punishment
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としてたら、横からそこの白い人が来てディアベルの身体をヒールピックで滅多刺しにしたんだ。あいつはビックリして逃げようとしたんだけど、彼女に首根っこを掴まれて動けなくなって、そんでトドメに脳天に一発――って感じだ」
……おかしい。救命行為(多分)のはずなのに、やってることが完全に猟奇殺人のそれだ。ヒールピックをただのピックに置き換えてやったら、HPが満タンでも死んでたような気がする。
「……一応訊くが、ヒールピックってのは、名前的に回復アイテムなのか? つうかヒールダーツじゃねえのか?」
「ヒールダーツもヒールピックもインフレーマーからのドロップアイテムだ。ただ、前者は囮から、後者は本体からしか出ない。どっちもヒットしたプレイヤーのHPを回復させる効果があって、回復量に違いは無いけど、ピックは投擲武器だから回収できれば使用回数に制限が無いんだ。ダーツは消費アイテム扱いだし」
そうか、あのクソ兎からはコレが出るのか。今度行ったら乱獲して手に入れてやる。
でも、今はその話じゃねえ。問題は、
「なんで、ディアベルはポーションを拒んだ?」
「それは…………」
「……オレが、ベータテスターだからだ」
男剣士が言い淀んだ時、足元から声が聞こえた。
見れば、今までうつ伏せになっていたディアベルがゆっくりと上体を起こすところだった。リーナが後ろからさりげなく手を伸ばし、頭に刺さりっぱなしだったピックを回収する。
「よお、目が覚めたかよ」
「ああ……問題、ない。もう、目は覚めたよ」
俺の問いかけにどこか含みのある言い方でそう応えたディアベルはその場に座り込み、周囲をぐるりと見渡した。いつの間にか他の面子も集まってきてたみたいで、俺たちを囲うようにして立っていた。
「なら、二つ訊いていいか。アンタはなんであの時、一人で飛び出した?」
「……ボスにトドメを刺したプレイヤーには、ラストアタックボーナスが入る。それによって出現するレアアイテムが、欲しかったんだ」
ディアベルの告白に、周囲がどよめく。表情が変わってないのは、未だに不機嫌そうなリーナだけだ。
俺はそれらを無視して、さらに続ける。
「じゃあ問二だ。アンタがポーションを拒んだのは、俺等を出し抜いたことに自責の念があったからか?」
「…………そうだ」
ディアベルは力なく頷き、そのまま俯いてしまう。周りの連中もかける言葉がないのか、全員静まり返ってしまった。
「……キミは、一護君といったね。ボスを倒してくれてありがとう。キミのおかげで、戦線が崩壊するまえに決着が付けられた。この勝利は、キミのものだ」
「別に礼なんかいらねえよ。俺らはボスを倒しに来たんだ。やるべきことをやっただけだ」
「それでも、皆を護ってくれたことに
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