第五十三話 無力
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魔法も唱えてみたけど、どれも発動しなかった。
最初は魔力が切れたと思ったけど違う。
私は、ゲマに魔法を奪われたんだ。
私の目の前でゲマとアベルとビアンカは消えて……後には私達だけが残された。
それからどのようにしてグランバニアに帰ってきたのかは覚えていない。
気がついたら私は自分の部屋で壁に寄りかかっていた。
私はビアンカを助けることが出来なかった。
私は魔法を敵に奪われた。
自分の仲間を助けられないで、自分の力を奪われた人間に『影響』なんて消せるわけがない。
所詮、私は特典に頼るっていただけの弱い人間なんだ。
そんな私なんて、元の世界に帰る資格もこの世界で戦う資格もないーー。
「ごめんなさい、アベル。ごめんなさい、ビアンカ。ごめん、ごめん、ごめん、ごめん」
私は暗い部屋の中で2人に謝りながら泣き続けていた。
いつの間にか外からは雨の音が聞こえていた。
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