Chapter 1. 『ゲームの中に入ってみたいと思ったことは?』
Episode 2. Spider, Spinner, Sniper
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ル、こちらこそよろしく頼む」
差し出された大きな手を取って、しっかり握手を交わす。
「ああ、そうだ。一護、会議の前半にいなかったようだが、ボス攻略のパーティーメンバーはどうするんだ? もう皆組んでしまったぞ?」
「え、なんだよソレ。マジか……」
組んだどうだ言ってたのはそのことだったのか、ミスった。あの腐れウサギにさえ会わけりゃ……と今更悔やんでも仕方ない。
「仕方ねえ、今回は独りで遊撃か……」
「……いや、一護。もし誰でもいいのなら、一人だけ空きがあるのを知ってるが」
「お、マジか! じゃあソイツとペアを……いや待て、なんでソイツは余っちまったんだ? 俺みてえな遅刻組なのか?」
思わずそいつとペアを組もう、と言いそうになったが、寸前で留まった。こんだけの人数がいて組んでねえってのは、俺みたいに遅刻してきたか、あるいはソイツ自身に難があるかのどっちか。そして、俺の勘だと、多分後者だ。
「それは、まあ、その、なんだ。とにかく、会えば分かる。一応、強さは俺が保障しておく。むしろ、ここに居る中じゃトップクラスのはずだ」
言葉を濁すエギルの態度でさらに不安が増すが、この際だ。凄まじく合わない奴でもない限り、大人しく組むことにしよう。
先導するエギルの後に付いていくと、会議場の端に人影を見つけた。着ているのはこげ茶色の長い丈のローブ……なんだか、数時間前に斬殺したクモ女を思い出す。街中にいるはずなのに、警戒心がふつふつと湧きあがってきてしまう。
「リーナ、ちょっといいか」
「………………」
エギルがリーナと呼んだ女らしきそのプレイヤーは、呼びかけには応じずに体育座りで蹲ったままだった。目深に被ったフードの端からは白い髪が覗いている。
喋らない相手にこっちも黙ってちゃ仕方ないので、俺からも声をかけてみる。
「アンタ、誰とも組んでねえんだろ? なら、暫定でいいから俺と組まねえか?」
「………………った」
「え? 今なんつった?」
聞き返すと、リーナはゆっくりと顔を上げた。
そこにあったのは、純白の、ただひたすらに真っ白い、白皙の女性の顔だった。
表情の欠片もない顔は、パッと見た感じ、どこか外国の血筋を感じさせるくっきりした目鼻立ちだった。整った無表情といい、大きな翡翠色の瞳といい、その顔はかつて戦った第四十刃を連想させる。
リーナは俺の目を見据え、薄桃の唇を小さく開いた。そして、
「……お腹減った」
いきなり空腹を訴えてきた。
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