Chapter 1. 『ゲームの中に入ってみたいと思ったことは?』
Episode 2. Spider, Spinner, Sniper
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てるハズだし、全力でブチのめしても死ぬことは無い。立ち上がれなくなるまで、精神的にボッコボコにしてやる!
そう意気込んで、一気に鞘から剣を抜き放とうとした、その時、
「その辺にしておけ、二人とも」
肩に手を置かれた。
振り向くと、黒い肌と禿頭が特徴の大男が立っていた。その低く渋い声といい筋骨隆々の体躯といい、チャドを連想させる男が、俺を静かに制止している。
それを見てなんとなく怒りが引いていくのを感じた俺は、深呼吸一つして気分を落ち着けてから、半身まで抜いていた剣を納めた。大男は軽く頷き、ポンポンと俺の肩を叩いて前に出た。
「……な、なんや、アンタ」
成人男性の平均と比べても明らかに小さいトゲ男は、二メートル近い屈強な大男の登場に少しビビッているように見えた。
「横から済まない、俺の名はエギルだ。キバオウさん、さっき彼の言葉にも出ていたが、アンタの言いたいことはつまり、ベータテスターが面倒を見なかったから、ビギナーがたくさん死んだ。その責任をとって謝罪、賠償しろ……と、そういう事だな」
「そ、そうや」
大男はトゲ頭をちらりと見やると、懐から一冊の本を取り出し、説明を始めた。
この本はスタードガイドであり、元ベータテスターによって無料配布されていた。情報は誰でも手に入る状況だったのに、大勢のビギナーが死んでいる。これを踏まえ、俺たちはどうボスに挑むべきなのか、それを議論するものだと、俺は思ってここ来たのだが、と。
……なんつーか、大人の対応ってのを見せつけられた感じだった。こうやって物的証拠と筋道立てた話、落ち着いた口調で喋るとこうも説得力があるのか、とちょっとビックリしつつ、自分の短気を反省してしまう。トゲ頭も流石に反論できないらしく、大人しく適当な場所に戻っていった。
それを見届けた司会の男により、会議が再開した。といっても、内容は簡単で、第一層のボスである『イルファング・ザ・コボルド・ロード』とその取り巻きらしい三体の『ルイン・コボルド・センチネル』についてスタートガイドの最新版にある情報の確認、それからアイテムやら経験値の分配についてだけだった。
明日十時集合ということで、各員が三々五々に動き始めた。帰る奴、司会の男のところに向かう奴、複数人で打ち合わせを始める連中。色々いたが、俺はとりあえずさっきの大男、エギルに礼を言いに行くことにした。
幸い、俺が近づくと向こうも気づいたようで、軽く手を上げて挨拶してくれた。
「さっきは悪かったな、助かった」
「怒りで我を忘れることは誰にでもある。俺は外野だったから、冷静に仲裁できたというだけだ。気にするな」
「やっぱ大人だな、アンタ。頼りになりそうだ。俺は一護だ、よろしく」
「そうでもないさ、一護。俺はエギ
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