第3話 シエルの理想
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は大丈夫なの?」
二人が部屋に入ると、シエルは研究を中断して二人の方を振り返って体調のことを尋ねてきた。
「ああ」
シエルの問いに対しての返事は素っ気ないけれど、快調らしいことが分かってシエルは再び安堵する。
「良かった…本当に良かったわ…ずっとゼロのこと探してたんだけど…全然見つけられなくて…ルイン、本当にありがとう…」
「え?あ、いやあ…」
シエルの感謝の言葉に苦笑するルイン。
本当は自分ではなくハルピュイアが助けてくれたのだが、ハルピュイアからの忠告もあったので黙っておく。
「ねえ、二人共。私が今何を研究しているか知ってる?エネルゲン水晶に代わる新しいエネルギーの開発…この世界を根本的に変える素晴らしい発明よ」
「「世界を変える?」」
そのようなことを言われても、この基地でのシエルの研究のことを知らない二人の疑問にシエルは胸の前で手を組み、少しの間を置いて口を開いた。
「ネオ・アルカディアがレプリロイドを弾圧し始めたのは…イレギュラー化の他に、エネルギー不足が原因だったからよ。人間の社会を守るため…能力の低いレプリロイドはエネルギーの無駄使いだと弾圧され、イレギュラーの烙印を押されて処分された…。この世界の…争いの歴史は…エネルギーを巡る争い…新しいエネルギーを開発出来れば、この争いに…終わりが来るはず…」
「シエル…」
そんなシエルの言葉にルインは一瞬だけシエルとエックスの姿が重なった。
「…………」
「この話を司令官のエルピスにしたんだけど、笑われちゃった。口では私が新しいエネルギーを開発するまで待つって言ってくれてるけど…本当は、エルピス…ネオ・アルカディアを倒すしかこの世を平和にする方法はないと思ってるのよ…」
「それは…」
シエルには悪いが、エルピスの考えは分からなくはない。
人間はレプリロイドと比べると弱い。
普段は道徳観念に基づいた建前を面に出して生きてはいるが、危機が訪れれば醜い部分を躊躇いもなく露呈する。
もしエネルギー開発が成功したとしてもイレギュラー認定されたレプリロイド達を受け入れられるかと尋ねられれば断じて否であろう。
エックスもそんな人間の醜悪な部分を見て、深く悩んでいた時期もあったのだから。
しかし、シエルの気持ちも分からなくはないから、ルインは何も言わず、黙るしかない。
「私、頑張るわ…武器の力ではなく、科学の力で世界を平和にしてみせるの…研究も、良いところまで来てるのよ。まだ少し足りないデータとか…あるんだけど…二人共、このサイバーエルフを見て…」
「サイバーエルフ?」
確かサイバーエルフと言うのは放浪中にゼロから聞いた電子の生命体だったか。
「不思議でしょ?こんな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ