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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第七話 出会い
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ただ弁護士として義務を果たしただけだ。母のためにリメス男爵を守っただけだ。父の死顔は酷く暴行され原型を留めていなかった。痛かったろう、苦しかったろう。父の変わり果てた顔を思い出すたびに俺は胸が張り裂けそうになる。
だがそれ以上に父は辛かったに違いない。子煩悩で俺をあれほど愛してくれた父が、俺を独りにしてしまう、俺と二度と会うことが出来ないと悟ったとき、どれほどの絶望が無念が父を捕らえたか。お前らに何が判る! 叫びだしそうだった。目の前のフェルナーに殴りかかりそうだった。俺は必死で怒りを抑えた。(我慢だ、我慢するんだエーリッヒ。だからもっと怒れ、もっと怒ってぶち切れて目の前のこの馬鹿を滅茶苦茶にしてやれ)
「待ってくれ、ヴァレンシュタイン」
ミュラーか。引っ込んでいろ、俺の邪魔をするんじゃない!
■ナイトハルト・ミュラー
目の前のフェルナーを睨みつけ、ヴァレンシュタインは小柄な体を小刻みに震わせながら怒りを表していた。一方のフェルナーは何が起きたか判らず、呆然としていた。いかん、止めなければ殴り合いが始まる。
「待ってくれ、ヴァレンシュタイン」
俺は夢中で叫んでいた。しかしヴァレンシュタインはこちらを見向きもしなかった。
「話があるのは俺なんだ、ヴァレンシュタイン。頼むからフェルナーを許してやってくれ」
「ミュラーの言うとおりだ。落ち着いてくれ」
俺とキスリングの言葉にヴァレンシュタインがようやくこちらを向いた。ギギギギギギと音がしそうなくらいゆっくりと。
「すまない。話があるのは俺なんだ。その、君にどうやって話しかけて良いか判らなくてね、悩んでいたらフェルナーが自分が間に入ろうと言ってくれたんだ。君を怒らせてしまったようだが、決して君や君のお父さんを侮辱するつもりは無かったんだ。不愉快な思いをさせてしまったことは詫びる。だからフェルナーを、俺たちを許してくれ」
「父や母の事を興味半分で話さないと言うのなら」
「ああ、もちろんだ。約束する。それから、話があるというのは忘れて「明日17:00にここで」・・・いいのか、ヴァレンシュタイン」
ヴァレンシュタインは無言のまま視聴覚用ブースに座って本を読み始めた。
図書室を出て中庭にある大きなカエデの木の下に俺たちはいた。
「驚いたな。あんなに怒るとは」
そう言うとキスリングはため息をついた。
「驚いたのはこっちだ」
フェルナーはしきりにボヤいている。
「とりあえず、殴り合いにならなくて良かった」
「殴り合いになったかな」
「なった」
俺とキスリングの答えが重なった。
「危なかったんだぞ、フェルナー」
「ん、なにがだ」
「一つ間違えば、俺たちは数を頼んでヴァレンシュタインを侮辱したって事になったんだ」
「おいおい大袈
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