第一部
第二章 〜幽州戦記〜
七 〜酒宴〜
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」
この二人に付き合っては、自分が潰されてしまう。
愛紗と共に、鈴々を見守る事にする。
「行くぞ、チビ!」
「鈴々はチビじゃないのだ!」
「黙れ! はぁぁぁぁっ!」
唸りを上げて、大斧が振り下ろされる。
刃を潰した演習用のものではないから、当たれば無論、只では済むまい。
……尤も、鈴々の方は心配無用だろう。
「へへーん、そんな攻撃、見え見えなのだ!」
ひょいと、身軽にそれを躱す。
「おのれ、ちょこまかと!」
「逃げてばかりじゃないのだ! 行くぞーっ!」
蛇矛を構えた鈴々の表情が、一変する。
「うりゃりゃりゃりゃーっ!」
鋭く繰り出されるそれは、まさに怒濤の如し。
「な、何っ?」
辛うじて、華雄はそれを受け止める。
受け止めるだけ、大したもの……だが。
「勝負あったな」
「はい」
「ですな、主」
「なんやー、華雄もこの程度かいな」
皆が、そう言った瞬間。
地響きを立てて、華雄の大斧の先端が折れ、地面に落ちた。
「な、わ、私の金剛爆斧が……」
「だから言ったのだ。鈴々は、お前なんかに負けないのだ♪」
「くっ……」
ガクリ、と華雄は膝を突いた。
「土方……。約束だ、好きにするがいい」
「華雄殿。拙者は、貴殿とそのようなつもりで、約定をした訳ではありませぬぞ」
「し、しかし。私は、お前との賭に敗れたのだ……」
「そうですな。ですが、それは別の形でいただきます故」
「そうか……。では、私はこれで失礼させて貰う」
そう言うと、華雄は立ち上がり、ふらつきながら立ち去っていった。
「お兄ちゃん、鈴々、やったのだ!」
「ああ、見事であったぞ、鈴々」
何となく、その頭を撫でてやる。
「にゃー♪ お兄ちゃん、もっとやって欲しいのだ」
「撫でて欲しいのか? 構わんぞ」
「へへー」
……ふと、背後に寒気を感じた。
「お兄さん、いくら何でも、見境がないのです」
「主。私というものがおりますのに」
「ご主人様……。どういうおつもりですか?」
「歳三様が、幼い鈴々に手管を尽くして……ぶはっ」
「お主ら、何か勘違いしておらぬか? 私は、そんなつもりはないぞ」
「お兄ちゃん、もっと撫でて欲しいのだ!」
動き回って酔いが回ったらしく、鈴々は私に抱き付いてきた。
しかも、振り払おうにも……何という力だ。
……やむを得まい。
「鈴々、済まん」
「にゃ?」
手刀を、鈴々の首筋に当てる。
本来、この方法は相手に対して危険を伴うらしいのだが……やむを得ぬ。
「ふにゃ〜」
どうにか、大人しくなってくれた。
尤も、無警戒だからこそ出来るのであって、普段の
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