暁 〜小説投稿サイト〜
至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
七 〜酒宴〜
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な愛紗を見て、風が大げさにため息をつく。

「やれやれ、完全に惚気(のろけ)てますねー。でも、仕方ないのです。お兄さんはそういうお方ですから」

 そして、私の前にやって来て、

「では、風もお兄さんに、同じ事をして欲しい、と言ったらどうしますか?」
「風。戯れは止せ」
「むー。戯れとは酷いのですよ、風はこれでも、愛紗ちゃんとはあまり歳が変わらないのですよ?」
「いい加減にしろ、風! ご主人様が困っておられるではないか!」
「愛紗ちゃん、焼きもちですか?」
「二人とも、止さんか。それよりも、愛紗。廖化の事、任せたぞ」
「御意!」
「風も、愛紗を手伝ってやれ。二人とも、無用な諍いは起こすなよ?」
「上手く誤魔化したつもりでしょうけど、風はしつこいですからねー」

 ……全く、女子(おなご)の扱いは、いつになっても難しいものだ。



 その日の夜。
 皆打ち揃って、董卓のところを訪れた。
 軍議を、という事だったが、

「その前に、一度交流を深めておこうと思ったんです。それで、ささやかですが」

 と、ちょっとした酒宴の場となった。

「流石は月やで、話がわかるわ」
「うむ。わかり合うには、何よりも酒でござるな」

 張遼と星は、早くも意気投合したようだ。
 二人共酒好き、

「土方さんは?」
「私は、多少は過ごせますが」
「では、一献どうぞ」
(かたじけな)い」

 注がれた酒は、無色透明。
 日本酒や焼酎とは違うようだが……ふむ。
 一口、含んでみる。

「む。なかなかに強い酒ですな、これは?」
「はい、白酒(ぱいちゅう)です」
「焼酎に似てはいるが……また異なるもののようですな」
「あの、焼酎とは?」
「米や麦、芋などから作る酒でござる。拙者の国では、消毒薬にも用います」
「これも、米や麦、エンドウ豆などが原料です。でも、違うんですよね?」

 と言いながら、杯を干す董卓。
 見かけによらず、酒豪のようだな。

「おい、お前も将なのか? まだ子供のようだが」
「鈴々は子供じゃないのだ!」
「だが、ここは戦場だ。面白半分では、命を落とすぞ?」
「へへーん、鈴々は強いから平気なのだ♪」
「ほう。自信があるようだが、ならばその実力、確かめてやろう」
「何だとー! お前なんか、けちょんけちょんにしてやるのだ!」

 華雄と鈴々が、言い争いを始めてしまったようだ。

「鈴々、止しなさい。失礼ですよ」
「華雄も止めなさいよ。折角の酒宴が台無しじゃない」

 稟と賈駆が止めるが、酒の入った二人は聞く耳を持たぬようだ。

「ならばその腕とやら、見せてみよ!」
「お前こそ、後で後悔しても知らないのだ!」
「あ、あの……。土方
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