暁 〜小説投稿サイト〜
ウラギリモノの英雄譚
デアイ――ソシテ、彼ハ彼女ト
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「間に、合った……」
 安心したら力が抜けて、思わず彼女を放してしまった。
(いた)っ!」
 頭から地面に落下した彼女は、「ごぐぉ……」と頭を抑えて地面に倒れ込んだ。
「ああ、ごめんなさい!」
 慌てて要が彼女を起こす。

「大丈夫ですか?」
「おでこ、めっちゃ痛い……まぁ、いいや」
 差し伸べられた手を振り払い、彼女は自力で立ち上がった。

「ようやく会えたね、要くん」
 彼女が制服の砂埃を払う。
 少女の顔が要の方を向いた。

 眉下で切りそろえた重た目の前髪の隙間から、猫みたいな瞳がこちらを覗き込んでくる。
 凛々しい眉には活発そうな印象がある。
 しかし少女の瞳には、どこか世俗離れした雰囲気を携えた。


「――わたしが君をヒーローにしてあげる!」

 おでこを赤く腫らした少女は要に向かって宣言した。 

 これが緋山 莉子(ヒヤマ リコ)との出会いだった。

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