暁 〜小説投稿サイト〜
大海原でつかまえて
番外編
あなたの横顔
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、私にはとても辛かった。その人の真っ直ぐな眼差しが、私が大好きな先輩の眼差しとまったく同じ眼差しだったことが、私にはとても悔しかった。

 あの日の先輩のように、街灯の下で空を見上げる。あの時先輩が何に悩んでいたのかは、私は聞かされていない。でも、今回先輩が行方不明になったことと、あの日先輩が悩んでいたことは、別問題ではない気がした。

 先輩。どこに行ってしまったんですか? ご家族を……私たちを置いて、どこに行ってしまったんですか? 今どこで、何を追いかけているのですか? 誰と一緒にいるのですか?

 街灯の明かりが明滅する。あの日のように少しだけ強い風が吹き、私の髪を揺らした。冷たい風が、私の頬の熱を少しずつ奪っていく。顔が冷たく、身体が寒い。一人でいる寒さに私の身体が冷えきっていく。隣に誰もいないというのは……一人でいるということは、とても寒い。

 まだ夕方だというのに、周囲はもう暗い。1月だからか、空はもう真っ暗で星が見える。日中晴れていたせいか、今日は星の瞬きがよく見える。先輩。あなたは今、空を見ていますか? あなたが見ている星空は、私と同じ星空ですか?

 私はあなたの隣にずっといました。私はあなたの横顔が好きでした。しっかりとまっすぐに楽譜を見るその横顔が、指揮の動きを追うその眼差しが好きでした。

 知ってますか? 先輩がパートリーダーになった時、あなたの隣の席を確保するため、私は他のメンバーにお願いして、先輩の隣の席を確保したんですよ? 大好きな先輩の横顔を見ていたくて……あなたのそばで横顔を見ていたくて、必死に他のメンバーにお願いしました。先輩は私がサードにならなかったことを不思議がっていましたけど、サードよりも、あなたの隣にいられるセカンドの方が、私にとっては大切なんです。

 初めてお見舞いをした日、私は先輩の頭を撫でました。その時に気が付きました。先輩、私はあなたの横顔が好きです。でもその横顔は、あの人を見つめているんですよね。あの、目の前のものをまっすぐ真剣に見つめる、私が大好きなその眼差しは、あの人に向けられた眼差しなんですよね。あの人と同じ眼差しなんですよね。

 あの日先輩は、涙を流さず泣いてましたよね。先輩とその人は、もう結ばれることはないのだろうと思いました。だから私は、その人の代わりになります。その人の代わりに、私が先輩の頭を撫でてあげます。その人の代わりに、私が先輩を抱きしめます。その人が先輩を愛せないというのなら、私が代わりに先輩を愛します。

 だから、私にもう横顔を見せないで下さい。すごく好きな横顔だけど……大好きな眼差しだけど……私に、その横顔を見せないで下さい。私を見て下さい。私に顔を向けて下さい。

 お願いです。その人を追い続けないで下さい。追いかけることで、自
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