番外編
妄想シュウくん
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いてるんでもうちょっと食べたいです。ご飯おかわりと……あと何かおかずになりそうなのありますか?」
「そうですねぇ……うちでは珍しいんですけど、昨日試しに作ってみた“にんにくのオイル焼き”が岸田くんには好評でしたよ。食べ終わった後目が血走ってたのがちょっと心配ですけど」
「美味しそうですね! それください!」
「はい。じゃあちょっと待っててくださいね」
――にんにく?!!
“にんにく”という言葉を聞いた瞬間、私の心に一陣の風がゴウッと吹いた。そしてその風に吹き飛ばされた私の意識は、再び別の世界の私とリンクした。別世界の私と妄想シュウくんは、相変わらず服を着ておらず、ベッドの中で抱き合っていた。事後なのか何なのかわからないが、私達二人はしっとりと汗ばんでいた。
……
…………
………………
『姉ちゃん……僕は……僕はもっと……姉ちゃんを感じたい』
『にんにく食べたんだもんね……お姉ちゃんも……もっとシュウくんを感じたい』
………………
…………
……
「うわぁああああ?! シュウくん?! 元気になっちゃうよ?!」
かろうじて意識が戻ってきた私はシュウくんに大声でそう告げてしまった。いやいいんだけど! 元気になるのはいいんだけど!!
「へ? 元気になるんなら別にいいと思うんだけど……」
「そ、そうだけど……いやそうだよね……うん……いやよくないよシュウくん?!」
「ダメなのか〜……しょぼーん……」
まさかダンナ様に感染してしまった自分自身のしょぼん攻撃に、ここまで翻弄されるとは思ってなかった。目に見えて落ち込むシュウくんに、思わず私は『いいよ』と言ってしまいそうになる。……いや別に食べてもいいんだけど! むしろ食べていいんだけど!
「帰ったあとで匂いが気になるんですか? だったら比叡さんも食べちゃったらどうですか? 匂いも気にならなくなりますよ?」
「そうしよう姉ちゃん! 姉ちゃんも食べちゃえばいいんだよ!!」
涙目で笑いをこらえる鳳翔さんの提案に、シュウくんも満面の笑みで大賛成をする。分かってない。きっとこの二人は私の葛藤を分かってない。
「そしたら私も元気になっちゃうよシュウくん?!」
「えー……元気になるならいいじゃん。ねえ鳳翔さん?」
「そうですね……プフ……クスッ……」
「ひぇぇえええ?!」
前言撤回。鳳翔さんはきっと私の葛藤に気付いている……こうなったらもうヤケクソだ。
「……鳳翔さん。私も食べます……」
「はい。じゃあ二人分作りますね。ブフッ」
「やった! 楽しみだね姉ちゃん!!」
「シュウくんのえっち……」
「なぜッ?!」
十数分後、鳳翔さんお手製のにんにくのオイル焼きが出てきた。それは、ピンク色
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