暁 〜小説投稿サイト〜
大海原でつかまえて
番外編
妄想シュウくん
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でしていいのよ?」
「?!」

 ビス子さんからの衝撃の告白を受けてはじめは困惑していたシュウくんだが、やがて観念したかのように、苦笑いを浮かべながら『よくがんばりました』と言ってビス子さんの頭を撫でていた。ビス子さんは頭をしばらく撫でられると、それはそれは上機嫌になっていた。

「フッ……この私には造作もないことよ! 私は戦艦ビスマルクなのよ?!」
「そして私は一人前のレディー!!」

 暁ちゃんとビス子さんが腰に手を当て、大海原に向かって高らかに笑っていた。その様子をシュウ先生は優しいまなざしで見守っていた。なんだか娘達を見守る父親のような表情をしている。暁ちゃんとビス子さんにあんなに優しい眼差しを向けられるのなら、私達の子供にもきっと優しく接してくれるだろう。

 ……ちょっと待って?! 私、今何を考えてた?! 私たちの子供?! 私と?! シュウくんの?!

 その瞬間、私の胸の中に一陣の風がブワッと吹き、脳内が他世界とリンクした。その世界の私は服を着てなくて、同じく服を着てない妄想シュウくんにベッドの中で抱き寄せられていた……

……

…………

………………

『姉ちゃん……僕は……姉ちゃんが欲しい』
『うん……いいよシュウくん……来て……』

………………

…………

……

 不意に誰かに肩を叩かれ、この世界に意識が戻った私は、反射的に叩かれた肩の方の手を振り回した。

「うっひゃぁあああ?!! 突然そんなこと言われてもお姉ちゃんは……ひぇぇええ?!!」
「どゅヴぉはッ?!!」

 どうも私の肩を叩いたのは司令らしい。司令は勢い良く振り回された私の手が頬に当たり、背後の大木まで吹きとんだ後跳ね返って、大海原まで放物線を描きながらコークスクリューで飛んでいった。『ひえーい?! 酒保の修理代はぁぁあああ……』という悲鳴が聞こえたが、気づかなかったことにした。

 その後私たち4人は一度シュウ音楽教室に戻ってそこで解散。私とシュウくんは二人で小料理屋鳳翔に入り、鳳翔さんの料理に舌鼓を打った。頭の中はピンク色一色に染まってしまっていたらしく、晩ごはんを食べてる最中はどうもシュウくんの血管がちょっと浮き出た男っぽい手や、ご飯を口に運ぶたびに大きく開く口とかに意識が向いてしまって、なんだか食事に集中出来ない。

「姉ちゃんどうしたの? なんかあった?」
「な、なんでもないよシュウくん?!!」
「いや、なんでもなくないように見えるんだけど……」

 そんな私達の様子を見て鳳翔さんがくすくす微笑んでいた。バレてるのかな……私が考えてること、バレちゃってるのかな……そんな私の心配をよそに、シュウくんが鳳翔さんに空のお茶碗を差し出した。

「鳳翔さん。なんだか今日はお腹がす
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