暁 〜小説投稿サイト〜
大海原でつかまえて
番外編
妄想シュウくん
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 今日一日の仕事が終わり、私は弟にして愛するダンナ様となったシュウくんの音楽教室に足を運ぶことにする。今日はもうやることもないし、あとはみんなといっしょにご飯食べてお風呂入って、のんびり過ごせばそれで終わりだ。

 シュウくんがこの鎮守府に正式メンバーになってそろそろ一ヶ月が経過する。シュウくんは艦娘のみんなの慰安と福利厚生を目的に、自身の特技を最大限に活かした『シュウ音楽教室』を開校した。

 シュウ音楽教室はこの鎮守府の間宮の隣に建造された。最初シュウくんは司令から『鎮守府の一角を間借りするって形にする』という説明をされていたらしく、自分の音楽教室のために新しい建物を建てるということに当初は困惑していたようだ。

「ちょっと待って聞いてないよ?! 古い建物使わせてくれれば充分だよ?!」

 恐縮しまくるシュウくんに対し、司令は実にあっけらかんと言った。

「いや、岸田が来てから資材の運用効率がめちゃくちゃ上がってな。おかげで資材にかなり余裕があるんだよ。ついでに言うと、間宮とか酒保とか小料理屋鳳翔とか、その辺の慰安施設は全部一箇所にまとめてほしいって要望が艦娘たちからも出ていてな。だったらこの辺に新しく建物作っちゃおうかって話になったんだ」

 かくして甘味処間宮の隣にして、小料理屋鳳翔の向かいという絶好のロケーションを手に入れたシュウ音楽教室は、おかげさまで繁盛しているようだ。お昼は生徒募集に応募してきた艦娘たちに楽器を教えており、『シュウ先生』は教え方が優しく丁寧で、艦娘の間でもとても評判がいい。

 夜は夜で鳳翔さんからのお誘いで、時々小料理屋鳳翔とのコラボをしている。シュウくんのトロンボーンをBGMに鳳翔さんのお料理を食べるという、のんべえさんにはたまらない時間を提供している。やはりというか何というか、のんべえな艦娘たちからの受けがいい。私も欠かさず顔を出しているが、やはり生演奏のBGMがあると食と会話が進む。シュウくんの演奏もいつも気合が入っていて、とても素晴らしい。ここに来て音楽の良し悪しが分かるようになるとは思ってもなかった。

 シュウくんが待っているであろうシュウ音楽教室はまだ見えてこない。私が今いる場所から目的地までは、まだだいぶ離れている。私は、わくわくして自然とサイクルが早くなりがちな自分の足に必死に『急がなくていい』と言い聞かせ、出来るだけゆっくりと歩いた。特に意味はないんだけど……別に急いで向かってもいいんだけど……

 そうやってシュウくんの元に向かっている途中、今日の演習中に金剛お姉様に言われたことをフと思い出した。

――そういえば、ちゃんとシュウくんにキスはしてあげたデスか?

 お姉様……それを追求されると……この比叡は何も言えません……

 私とシュウくんが結ばれた日
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