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第一章
女の子らしさ
時任茉莉也は背はかなり小さい。一五〇あるかないかである。
収まりが悪いというよりはあちこちにはねている黒髪を短く切っている。いつも元気そうで黒くはっきりとした眉毛を持っている顔立ちからいつも男の子に見られる。そんな女の子だった。
小柄だがバスケ部に所属している。そこでもいつも言われるのだった。
「そんなに小さくてよくやっていけるな」
「幾ら何でも一四七じゃなあ」
「一四八よ」
いつもむっとした顔で言い返す。彼女の背は一四八である。
「ちゃんとそれだけはあるわよ」
「一センチ位の違いじゃねえか」
「どっちにしろ小さいよな」
「なあ」
男連中はいつもこう言って彼女をからかう。すると彼女はそうしたからかいに対していつもその練習で見返すのであった。
高くジャンプしてシュートを入れる。素早いドリブルやパスを見せる。小柄なだけにその動きは俊敏でしかも運動神経もかなりのものであったのだ。
「どうかしら」
「まあ動きは相変わらずだな」
「見事なものだよ」
彼等もそれは認めるのだった。
「これで背が高かったらなあ」
「もう最高だったのにな」
「小柄なのを運動神経で補っているのよ」
いつもこうやり返すのも常であった。
「そう考えなさいよ」
「へいへい、まあ一年からレギュラーだしな」
「凄いのは確かだよ」
彼等もそれは認める。何だかんだで彼女は頑張っていた。
しかし小柄なことをからかわれるのは我慢がならず。いつも下校中に怒った顔で言うのだった。
「酷いですよね、男連中」
「まあね」
いつも一緒に帰っている相手が彼女に応える。
「それはね」
「背が低いのは私のせいじゃないですよ」
大きな目も怒っている感じであった。
「延びないんですから。もう」
「背はそうなの」
「はい。小学校高学年で止まりました」
このことも話すのだった。
「それでずっとこんな感じです」
「そうだったの。もう延びないの」
「言っても言われても仕方ないってわかってますけれどね」
自分でもその自覚はあるのだった。
「けれど」
「けれど?」
「もっと。欲しいです」
こう語るのであった。
「もっと背が欲しかったのも確かです」
「そうよね。コンプレックスってやつね」
「先輩はいいですよね」
ここで彼女はいつも一緒に帰っているその先輩に対して言うのだった。坂村優は彼女より一年先輩でありバスケ部のレギュラーである。背は高く一七〇はある。少し赤を入れて染めている髪を長く伸ばしており目鼻立ちは実にはっきりとしている。気の強そうなはっきりとした目をしており光が強い。
スタイルはかなりいい。胸も腰も見事なまでに目立っており制服の上か
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