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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六話 厄日
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6年だ。6年でどれだけ出世できるだろう。

戦略科を選んでも良くて少佐か中佐だろう。もちろんナイトハルト・ミュラーのように6年で中将にまで出世した人間もいるが、全員が彼のようになれるわけではない。彼は本当に能力と運に恵まれた人間だったのだろう。ちなみにナイトハルト・ミュラー、アントン・フェルナー、ギュンター・キスリングの3人は今士官学校の一年生で俺とは同期生になる。3人とも戦略科に属しエリートコースを歩んでいる。兵站科の俺は彼らとは話をしたことも無い。

 話を戻そう。6年間でさほど出世できそうに無いとなれば、次に問題になるのは生き残れるかだ。この点でも戦略科はあまり高く評価できない。なぜなら戦略科には馬鹿が多いからだ。エリートコースでありながら馬鹿が多いというのは矛盾するようだがこの場合は矛盾しない。

なぜなら戦略科には高官子弟枠が存在するからだ。高官子弟枠、つまり貴族や高級軍人の馬鹿息子のために用意した優先席だ。こいつらは本来なら落第して士官学校を放逐されてもおかしくないのだが、有力者の息子ということで保護されてしまう。

始末が悪いのはこの阿呆どもが上級司令部付きの指揮官、参謀になってしまうことだった。そして平民出身、下級貴族出身の真のエリートは下級司令部、最前線の指揮官、参謀になってしまう。おそらく俺も其処に配属されるだろう。

これで何が起きるかだが、「上級司令部が犯した戦略的なミスを下級司令部が戦術的な成功で覆そうとする」、になる。覆せれば良いのだが、実際にはそうはならないのは数々の歴史的事実が示している。となれば下級司令部の壊滅だの全滅という悲惨な状況が発生することになるのだ。

 帝国軍が強くなるのはラインハルトが実力主義を取ってからだといっていい。今現在では身分制度が帝国軍を頑なに縛っている。帝国が自由惑星同盟に占領されなかったのはイゼルローン要塞のおかげなのだ。

 第二の理由はローエングラム元帥府には実戦指揮官は豊富だが、後方支援を得意とする人間が少ないように見えるからだ。原作を見るとオーベルシュタインの他にはフェルナー、グスマンぐらいしかいない。後方支援の練達者がもっといてもいいだろう。

 第三の理由は兵站科が暇だからだ。俺はこの4年間に資格を出来るだけ取ろうと思っている。なぜならリップシュタット戦役が終結したら軍を退役しようと思うからだ。理由はリップシュタット戦役の4年後には宇宙が統一される。宇宙が統一されたら何が起きるか。

少し歴史を顧みれば解かる。軍縮だ。常備軍ほど財政を圧迫するものは無い。兵士、物資、金の全てがただ消費されるだけなのだ。生産性など皆無と言っていい。敵がいるうちは我慢して維持しているが敵がいないとなれば削減することになる。また軍の発言力を抑えるためにも文官たちは軍縮を要求
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