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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六話 厄日
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中で自分にもっともあった専攻学科を選べというわけだが、ほとんどの学生が1年の終わりには専攻を決めている。入れるかどうかは別として。
「兵站科が悪いというわけではないが、もったいないと思ってね。私も閣下も君の才能が生かされないと思うのだよ」
「うむ。クレメンツ中佐の言うとおりだ」
彼らの言うのはもっともだった。各専攻学科の中で一番人気は当然戦略科だ。ほとんどの指揮官、参謀は戦略科出身だ。エリートコースなのだ。それに戦史科が続き、空戦科、陸戦科となる。戦史科なら指揮官、参謀になる可能性は戦略科に次ぐ。そして空戦科、陸戦科は実戦部隊として昔から人気が有る。実戦部隊である以上、武勲を挙げ昇進する機会も多いからだ。
一部マニアックな人間(職人気質、オタクと言っていいだろう)に根強い人気を持つのが技術科、航海科、情報科だ。兵站科を選ぶ人間はほとんどいない。地味だし、武勲を挙げる機会が無く、当然昇進も遅れるからだ。希望する学科に入れなかった人間が集まると言っていい。兵站科は落ちこぼれなのだ。補給は戦争の基本、補給を軽視すると死ぬよ。
「ありがとうございます、閣下、クレメンツ中佐。ですが自分はやはり兵站科に進もうと思います」
「どうしてだね、ヴァレンシュタイン候補生」
「戦略科を選べば将来は参謀か指揮官になります。当然戦闘指揮を行うことになりますが、自分は体が弱いので長時間の戦闘指揮に耐えられるか自信が有りません。反って周囲に迷惑を掛けてしまうのではないかと思うのです」
「なるほど、それで兵站科を選んだのか」
「はい。兵站科でなら自分でも国家のお役に立てると思ったのです」
俺は出来るだけ深刻な顔をして答えた。二人とも俺の言った「国家のお役に立てる」という言葉に感動したらしい。しきりに首を縦に振ったり横に振ったりしている。ちなみに体が弱いというのは嘘ではない。仕官学校に入ってからも2度ほど貧血で講義を休んでいる。
「そうか、残念だな中佐」
「はい閣下。ヴァレンシュタイン候補生、兵站科に進んでもシミュレーションは怠るなよ。軍人である以上、何処で戦闘に巻き込まれるかは判らん。腕を磨いておけ、いいな」
「はい、御忠告有難うございます、中佐」
校長室から開放された俺は、図書室に向かっていた。うまくあの二人を説得できたので俺の心は軽かった。俺が兵站科を選んだのは体が弱かったからだけではない。他にもいくつか理由がある。
第一の理由は戦略科が危険だからだ。俺はラインハルト・フォン・ローエングラムに協力して門閥貴族をぶっ潰してやりたいと思っている。しかし俺に何が出来るかだ。今は帝国暦477年、そしてラインハルト・フォン・ローエングラムが元帥になるのが帝国暦487年だ。10年しかない。しかも士官学校で4年取られるから実質は
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