確率の惑うは誰が為
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は絶望の後の平穏。どちらかと解すは終末のみ。
どちらに救いがあるとも思えぬ道の果て、片や冷たき王の頂に、片や魔に堕ちし者に辿り着く。
努々忘れることなかれ、二つ以外の平穏を望むのならば夜天を抱かぬよう」
今度は少し詳しい予知が流された。
月ちゃんは不思議そうに首を傾げた後……いつものように柔らかく微笑んだ。
「人の生には選択肢はつきもの。私は選んだ結果に後悔を挟むことなく受け入れ、進むだけ。どのような世になろうと、私は日輪と共に輝く銀月となり、夜天を抱いて世を照らします」
確たる芯を以って語られる言葉は力強く、昔の月ちゃんのように覇気を纏って放たれた。
一寸、管輅さんから悲哀が零れた気がした。きっと気のせいだ。失礼なことばかり言うこの人が、私達にナニカを感じているとは思えない。
私がじっと見つめていると……管輅さんは首を振った。私の方を向いてから、大きく息を呑んだ音が聴こえた。
「そ、そなたは……」
「な、なんでしゅかっ」
二人とは違った反応が返ってきた事に驚く。
震える吐息を吐き出して、彼女はゆっくりと言の葉を流していった。
「……鳳凰、空に羽ばたく、故に空に届かず。藍橙の空は泡沫の幻なり。
大局に抗いし黒き麒麟を止めること叶えば、願いの一つは与えられん。
しかれども……焦がれる想いはやはり空に届かず、泡沫の夢と共に散りぬ」
二人とは違う占いの途中、管輅さんがぎゅうと胸を押さえた。まるで彼のように、ナニカが壊れる前の彼のように。
「……大局に抗いし黒き麒麟を止めずに居れば、願いの一つが叶えられん。
終わらぬ再演に終末が来たり、世に平穏が現れる……黒き麒麟の崩壊を以ってして」
絶句した。頭が真っ白になった。
この人は何を言っている?
この人は何を決めつけている?
大局? 何のこと? 大きな流れ? わけが分からない。
あの人が抗うのなんていつも通りだ。いつでも、いつだってあの人はナニカに抗っているのだから。
しかし何故か、胸に不安が湧き立った。
――あの人が抗う大局。違う……黒麒麟が抗う大局はいつだって――
最大の矛盾を大局と呼ぶのなら、彼が抗っているのは間違いなく……
隣を見ると、華琳様が不快気に眉を寄せていた。
「……黒き麒麟が抗う大局とは、私のことかしら?」
「……」
「沈黙は是と取る。では質問を変えましょう。あなたは何モノ?」
「……管輅、ただの占い師」
「私はね、不可思議な言動で内部混乱を狙っている他国の細作か何か、かと思っているのだけれど?」
「そう思うのならばそう思うといい。ただ……鳳凰に対しての占いはまだ終わってはおらんぞ」
華琳様の予測が一番しっくりくる。
訳が
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