彼方からの使者
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「うん・・・。」
「ドロワ。起キル、起キル。」
「わかったよ・・・。だけど、あと10分・・・。」
「ドロワ。リンカ待ッテル、待ッテル。」
「ええ?!どうしてもっと早く起こしてくれないのさ!」
ドロワは飛び起きると、衣装ケースへと入る。
時は、宇宙世紀。
ケースに入れば、あとは自動で今日の天候に最適な服を自動で着せてもらえた。
「行ってきまーす!」
「気ヲツケテ。気ヲツケテ。」
扉を開けると目の前には、長い赤い髪をおさげにした少女が仏頂面で立っていた。
ドロワに気が付くと、さらに唇を尖らせる。
この仕草は、ほかの男から魅惑的に見えるかもしれなかったが付き合いの長いドロワは本当の意味を知っていた。
(すごい、怒ってる・・・。)
「お、おはよう。リンカ。待った?」
「まだ寝ぼけてるのかしら?まったく、いい度胸ね。コロニー自警団団長の娘を待たせるなんて。」
「ご、ごめんよ。」
「今週何回目だと思ってるの?!いっそ、罪をでっちあげてパ・・・お父さんに捕まえてもらおうかしら。」
「いやいや・・・それだけは、勘弁。」
頭の中にコロニー自警団団長のユリウスの顔が浮かび上がる。
娘を溺愛していることでも有名であり、怒らせたら無傷での生還は望めなかった。
当然のように、リンカが鞄をドロワへと突き出す。
ドロワも仕方ないとばかりにその鞄を手に取った。
「やけに、今日は重いな。」
「べ、別に!いいでしょ!」
「いいけど・・・。」
恥ずかしそうにするリンカの顔に疑問を持ちながら、隣を歩く。
容姿端麗、学業・運動ともにトップクラスの成績を保つリンカの欠点をあげるならば、その男勝りな正確だろう。
ドロワは、そんなことを考えていた。
「そういえば、前から気になっていたんだけどどうしてコロニー自警団なんてあるんだ。コロニーには、連邦軍も駐留しているんだしいらなくないか?」
「はぁっ?!ドロワ、そんなことも知らないの?」
「悪かったな・・・。」
「このコロニーは、あの一年戦争以降初めての連邦公認の独立自治区となる予定の場所なのよ?だから、自治をするためにもコロニー自警団が設立されたのよ。」
「へえ・・・すごいな。」
「つい一昨日授業でやったばかりじゃない・・・。もう・・・しっかりしてよ。だから、実技ではトップなのに座学はビリなのよ。」
「仕方ないだろ?ずっと座っているのは苦手なんだよ。」
そう言ってリンカへ振り返った瞬間だった。
巨大な爆発音と光がすると、そこにいたはずの彼女の姿は見当たらなかった。
代わりに大量の瓦礫が鎮座している。
ドロワ自身にも、軽いやけどや切り傷のあとが出来ていた。
「え・・・?」
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