彼方からの使者
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「おい・・・おい、リンカ!リンカ!」
鞄を放り投げ瓦礫の山へと飛び込む。
つい今さっきまで、自分を叱っていた声。自分にかけられたぬくもりは、無くなっていた。
「嘘だろ・・・。」
誰のものかもわからぬ右腕を手に取りドロワは、立ち尽くした。
放心状態の彼をしり目に、コロニーにできた穴から一機のザクが入り込んできていた。
どうやら、コロニー中で同じことが起きておりあたりは阿鼻叫喚の渦となっていた。
「お前が・・・お前が・・・!」
「おい!何してる!早く避難しろ!」
「ユリウス団長・・・。くっ・・・僕は・・・リンカを!」
「・・・そうか。だが、今はドロワ。お前の避難が優先だ。早く乗れ!」
「嫌です!あのザクが、あのザクが全てを奪った!だから!」
「だからなんだ!ドロワ、お前はこれから数万の命をかけ戦うことになるんだぞ!そんな時に、リンカのためだけに立ち止まるな!」
「なに言ってるんですか!あなたの・・・娘のリンカが!」
「言うことを聞け!お前は!なにもわからんのか!」
ユリウスの両目からは涙からあふれ出ていた。
しかし、その眼には確かなる気焔が宿っている。
ドロワは思わず、その顔に畏怖を感じた。
ユリウスが再び催促をする。
もはや、黙っていうことを聞く以外にドロワに道はなかった。
(さよなら、リンカ・・・。必ず・・・敵を!)
「いいか、ドロワ。お前をこれからある場所へ連れていく。」
「え・・・避難艇では?」
「さっきも言っただろ。お前は、これから数万の命をかけ戦うことになると。」
「それは、どういう・・・。」
「・・・お前は、今日を持って訓練校を自主退学、すべての記録を抹消された。そして・・・ガンダムに乗るんだ。」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「時間がないんだ!いいか、必ずアルケミコードを探しこの混沌とした宇宙世紀を変えるんだ!」
「意味が分かりません!それに、僕はそんなことを望んでいない!」
「望んでいなくても!それでも、誰かに希望になり道先案内人となる!それが、人だ。」
「・・・。」
「いいか、敵を取るのもいい。野心を叶えるのもいい。だがな、まずは自分の心に聞け。そして決めるんだ。」
「自分の心に聞く・・・。」
「しまっ!」
突然乗っていた車両が横転し、ドロワは外へと投げ出された。
体を強く打ったがなんとか立てる状況だ。
「ユリウス団長!」
ユリウスは、車の下敷きとなって動けないでいた。
後ろには先ほどのザクがジリジリと距離を詰めていた。
「いけぇ!」
「でもっ!」
「お前がやることは、俺を助けることじゃない!先ほどまで見せていた強情さは、
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