普段→家庭
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る。
「太刀筋は読み難くなっているが攻撃に気が回りすぎだ。防御を固めないと破られるぞ」
しかし黒はこの様な事を言うが、中学生に今の平真の攻撃を守りきれる者はごく少数だろう。この練習はそのごく少数の者に勝てるようにする為に、黒もアドバイスをして技術の発展に貢献していた。
「すいません。もう一本お願いできますか?」
この様な調子で最終下校時刻まで勝負を続けた。この学校での中心は勉学の為、部活動の時間は限られている。多くても大会前に一時間になる程度だ。
この短い時間では、上位は目指し辛いだろう。だから大会に参加する者と不参加の者でメニューを分けて素早い上達を行い、大会出場者はできるだけ敗北の無くなるようにしていた。
部活が終わり、帰るため駅に歩を進める。駅に着くまでも、電車に乗ってからも特に何事もなくごく日常を過ごす。自分の家の最寄り駅に着き、降りると同時と思うほど早く声を掛けられる。
「お!お兄ちゃんお帰り!」
「ただいま。芽吹」
そこに立っているのは、目上で黒い髪が切られたのが特徴的な少女。黒の妹の芽吹だ。
芽吹と合流してからは、家まで共に歩いていく。帰るまでの間は、黒はあまり口を動かさず芽吹が口を多く開いている印象が見て取られる。その会話の内容は学校での他愛無い話が多く感じられる。剣道で先輩に打ち勝ったという話や、テストの成績が良かった・・・という話だ。そんな調子で家まで付くと晩飯の準備をし始める。
晩飯に手を付けるのは母の美夜が帰って来てからにしていた。そのため七時から食事をしていた。食事をしている間はテレビをつけ、明日の天気予報や話題の出来事について意識の傍らで視ながら咀嚼していた。視ているとき、タイミングを見計らったかのようにして例の話が出てくる。話題のゲームの話だ。テレビに出てくるのは、VRMMO技術の開発者、ゲームクリエイターにして量子物理学者の近郷創史だ。
それを見たためか何かを思い出した美夜は唐突に告げる。
「あ、そうそう。近郷さんのところにお手伝いに行ってみない?」
「なんのことですか?」
黒は思い掛けない不可解な発言に対し詳しい説明を求めた。このようなことを言われ即座に「はい」などと答える者はいないだろう。黒が手伝いに行かねばならない理由、経緯が全く分からず、何故?という思いで聞くのは道理だといえよう。
「ああ。ごめん、ごめん。説明が足らなかったね。今日取材に行った時、ゲームの為に剣とかを使えるモデルを探していたの。それで黒を紹介したってわけ。有段者に勝ったこともあるし、やってくれるかなって思ったからね。手伝ってくれたらもれなく、クローズドベータテストの千人に一つ枠を作ってくれるらしいよ」
「…本当ですか?」
あまりにも信じがたいことだった。ゲーム制作で忙しい近郷創史がインタビューに来た一
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