普段→家庭
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想に接している自分に対して声を掛け続けている。そのことから会長としての責任感も強く、生徒の為に働こうとしているのだ。1個人としてはそれだけで嬉しいものだった。
黒のような一般家庭出身の生徒は少数のためか肩身の狭い思いをしている。しかも学校が家柄を重んじる傾向の学校のため、一般家庭出身の生徒たちが肩身の狭い思いをしてきた。その風潮は薄くはなって来ているが、まだ残っている。
そして黒はそんな校内のパワーバランスを崩す存在になった。偏差値の高い私立中学において常にトップに位置し、あらゆるスポーツも完璧にこなす、完全無欠な生徒…それが黒だったのだ。
その一方で、そんな黒を好ましく思わないものも、もちろんいた。しかし黒が最上級生になった今、反抗を行える者などは同じ学年の三年生の中にしかいなくなった。
しかも、三年生の中でも黒に何かしたところで勝機はないとわかっているため、反抗を行おうとする者などいなかった。つまり学園でトップに位置する存在だったのだ。そんな黒が生徒会長となっても特に不備はなかっただろう。だが、最も信頼が足りないので生徒会長など夢のまた夢だった。しかし、元々黒は生徒会長をする気などはないので実害等はなかった。
午前の授業が終わり昼食の時間に入る。
この中学の校則として昼食をとる場所は規制されておりそれが終わると昼休みに入る。
それぞれの人が各々の場所で昼を過ごす。黒は図書館へ向かい角の目立たないスペースで本を読み耽る。黒は日々このように過ごしている。
黒が閲覧しているのは平凡な生活をしている中では手に入れ難い医学書だ。もちろん、このような貴重な本には規制が掛かっているが、先生に頼み込みこの本に目を通しているのだ。
成績もいいので難なく許可はもらえる。しかしこの時間を害するものが現れる。朝、出会った生徒会長だ。
「貴方、またこんなところに一人で居て誰か一人くらい連れてきたらいいじゃない。ここに来ること自体は悪いことでは無いのだから、もう少しくらい友達付き合いをよくする気は無いの?」
こんなところと藍華が言ったのは、此処図書館は人の出入りがとてつもなく乏しいからだ。唯今図書館にいるのは藍華や黒を合わせても四人のみだ。私立の学校というからに蔵書数も多く、それなりに学習も捗る場所なのだが、昼休みは少ない休憩時間の一環なのだ。その時間まで学習に使おうと考える者は少数だといえよう。勉強だけでなく、時には休憩が必要なのだ。
藍華の問いに対して自分の意見を述べる。
「将来の目標のため日々精進せねば成りませんので、友達付き合いなどに現を抜かす気はありません」
そう言い終わると同時に次の授業の予鈴が学校中に響き渡る。人との接触を避ける黒にとってはとてもタイミングの良いものだった。
「では、つぎの科目が始まる前に自分はこれで。あ、それと一
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