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swordarton-line〜二度目の世界〜
転生→生活
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)」としての新たな人生は始まった。



 病院で目覚めた後、病室を訪れた女性や医師達の会話から、自分が置かれている状況を整理した。自分は転生させられて現在此処にいる。自分の魂の器となっている身体の持ち主の名前は、黒。三歳の幼い少年で、事故に遭ったところを病院に運び込まれたらしい。
 大した怪我はなかったが、問題は彼の両親だ。黒の両親は、自分がこの場所に来ることになった事故によって命を二人とも落としたらしい。
裏鳴美夜と呼ばれた女性の話を聞く限り、どうやら彼女が黒の引き取り手になるらしい。未だ混乱の中にありながら、三歳児として振る舞い周囲の情報を集めていった。
 幼稚園では周囲の赤子を放っておいて読書をしては先生には気味悪がられ、小中学校では図書館に籠って本を読んでいたりしただけで中二病扱いされていた。
 そう暮らしているうちに気付いたが瞬間記憶、絶対記憶、人とは到底思えない運動能力というチート能力がついている事に気が付いた。
 それにより記憶は頭にどんどん蓄積されていった。

 二〇七二年 五月九日

 黒として転生してから、およそ十一年の歳月が経った。現在黒は十四歳。中学三年生である。転生したての時は、社会常識や文明の少しの違いから生活に戸惑う日々だったが、どうにか慣れることはできた。転生当時が三歳だったため、一般人にずれた思考や年齢に不相応な態度等は誤魔化せた点が大きい。
 裏鳴黒の自宅は、昔の街並みを残した地域の敷地の一角を占めて建てられている。小さな道場も備えられており祖父が他界した後も、この家の住人により使われている。
「めぇええんっ!」
「甘い!」
早朝の道場に威勢のいい声が轟く。防具をつけて稽古する少年少女。少女は竹刀を振るが、少年は華麗なステップで避けていく。息をきらせて少女は竹刀を振り回すが、少年には一撃も入らない。どころか攻撃を往なす少年には、まだまだ余裕が窺える。
「面!」
「うわぁっ!」
少年が動きを攻めに変える。少女の隙を伺い攻撃を入れる。面の中央を狙い的確な一撃を振り下ろす。反応が間に合わなかった少女はそれをまともに受けてしまう。
「痛たた、やっぱりお兄ちゃんは強いなぁ。」
「芽吹(めぶき)は太刀筋がそのままだ。あれでは相手にあたらないぞ。」
そんな言葉を交わしながらも、礼をすると防具の紐をほどき面も外す。それと同時に素顔が露になる。
少年の方は、大人しいスタイルの髪型に軟弱そうな両目に細い顔が特徴的な少年。少女の方は、眉の上でバッサリとカットされた黒髪に、ぱっちりとした瞳をした、少し男の子めいた雰囲気を纏った少女。裏鳴家の住人である黒と、義妹の芽吹である
「力だけで押し切ろうとすると簡単に避けられてしまう。相手の動きを見極め、先読みすれば、軌道が分かる。」
「う〜ん、簡単に言
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