第二章
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「わかってるのならね」
「ああ、売り続けるか」
「そうしましょう」
こうしてだった、アントニオはイザベラと共に店の商品特にフラメンコドレスを売っていった。そしてその春祭りのだ。
数日前になるとだ、余計にだ。
フラメンコドレスは売れる様になっていた、それこそだ。
スリットが大きく入ったものや身体のラインがはっきり出るマーメードタイプ、それにスカートの丈が短いものもある。その全てが売られているが。
その定番の柄の水玉柄を見てだ、フランスから来たという観光客がアントニオに店の中で尋ねた。
「何で水玉が多いんだい?」
「そのことかい」
「ああ、どうしてなんだ?」
このことを問うのだった。
「水玉が多いがな」
「これは色々言われてるんだよ」
「色々?」
「ほら、黒子あるだろ」
アントニオは観光客にまずこのことから話した。
「女にはな」
「黒子な」
「黒子って大事だろ」
「ああ、俺にもわかるさ」
見れば観光客は中年だが中々いい顔立ちだ、背は然程ではないがジゴロチックである。
「女の子とはいつも楽しんでるからな」
「そうか、あんた遊び人か」
「そうさ、仕事の合間にいつも宜しくやってるさ」
「それは何より、ならわかるな」
「女の顔の黒子は宝だ」
観光客も言い切った。
「付け黒子なんてある位だからな」
「それがあるとないとで全然違うだろ」
「そうだな、特にスペイン女は」
にやりと笑ってアントニオに言うのだった。
「黒子が生きるな」
「独特の顔立ちに肌の色だからな」
「そうなるな」
「俺の女房は実は背中にあるんだがな」
イザベラのことも話すのだった。今彼女が店にいないことをいいことに。
「この黒子がまた最高なんだ」
「へえ、背中にかい」
「そうさ、とにかくスペインとりわけこのセビーりゃの女は黒子が生きる」
それでというのだ。
「フラメンコドレスも水玉はそれを表したと言われてもいるな」
「そうなんだな」
「他にも言われてるんだよ」
「他にも説があるのか」
「雨の時の水はねを表現したとも言われていれば」
さらに話すアントニオだった。
「ロマニー女の涙とかな」
「ああ、ロマニーっていえば」
彼女達の名前を聞いてだ、観光客も言った。
「あれだな」
「セビーリャはあれだろ」
「ああ、セビーリャはカルメンの舞台だろ」
「そうだったな、あのオペラのな」
「あんたフランス人だからな」
「そうさ、カルメンはな」
にやりと笑ってだ、観光客はアントニオに言った。
「俺の国の音楽家のビゼーが作曲したんだよ」
「あれはいい作品だな」
「そっちの国の音楽も取り入れててな」
「まさに名作だな」
「そのカルメンもだよな」
「ロマニーだ」
このことはあ
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