第二章
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「ユニオン=ジャックはロンドンで高々と振られる」
「勝利の喜びと共に」
「そうなりますね」
部下達も言う、イギリスは苦しい中にあったがそれでもだった。
彼等は自分達の勝利を確信していた、そのうえで戦争を続けていた。
戦いはロシアで革命が起こりこの国が戦争から脱落しアメリカが連合国側に参戦した、ドイツは東部戦線から将兵達を西に回してだった。
一気に攻勢に出た、そこにアメリカも軍を送ってきてだった。
戦局は一気に進んだ、まさにどちらが先に勝利を掴むかといった状況になっていた。その中でキールで暴動が起こり。
ドイツは内部から一気に崩壊してだった、連合国側と講和することになった。講和会議はベルサイユで行われ。
戦争は終わった、ビッグ=ベンの鐘はチャーチルの言った通り高らかに鳴り響き。
ユニオンジャックはロンドンを埋め尽くし高々と振られた、王宮に勝利報告に向かうチャーチルの車の上にまで群衆が来ていた。
人々は勝利を祝って熱狂していた、チャーチルも喜んでだ、部下達に言った。
「私の言う通りになったな」
「はい、勝ちました」
「我が国は」
「この長く辛い戦いを終えました」
「勝利によって」
「我々は勝つべくして勝った」
にやりとして言った言葉だった。
「まさにな」
「そうですね、辛かったですが」
「しかし勝ちました」
「紛れもなくです」
「ドイツを降伏させました」
「ドイツは全ての植民地を本土の八分の一を失った」
チャーチルは講和会議で決められたことも話した。
「アルザス=ロレーヌにな」
「ダンチヒも自由都市になり」
「そして、ですね」
「多額の賠償金も課されました」
「これでドイツは二度と立ち直れませんね」
「戦争の要因となった国は」
「そうだ、我々は勝利の報酬も得た」
こうも言ったチャーチルだった。
「確かなものもな」
「耐えたかいがありました」
「多くの犠牲を出しましたが」
「相当な国力も使い」
「疲弊もしましたが」
「しかし勝った、ではだ」
チャーチルはまた葉巻を出した、そして。
その葉巻の先を切って吸った、彼が好きなハバナ産の葉を使ったそれを。
美味い筈だった、実際に美味かった。だが。
その葉巻の美味さを感じ取ってからだ、チャーチルはおやといった顔になってそのうえで部下達にこう言った。
「不思議だな」
「不思議?」
「不思議とは」
「何かありましたか?」
「葉巻に」
「美味いことは美味いのだが」
しかしというのだ。
「戦争前より美味く感じない」
「それは長く耐えた直後だったからでは」
部下の一人はこう彼に答えた。
「だからでは」
「その時の気持ちがまだ残っているからか」
「それでは」
「そうだろうか」
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