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異界の王女と人狼の騎士
第七十五話
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、最近学校に来てないよね」

「いや、あいつからは別に聞いていないけど」

「そうなんだ。……でも、少し気になることない? 」
 俺は彼女が何を言いたいのか分からず、戸惑う。彼女は相変わらず俺の目をじっと見つめながら話し続ける。まるで俺の僅かな動揺さえ見逃さないようにしているようにさえ見える。そういう癖なのかもしれないけれど、何か追い詰められている気になる。
「月人君でも分からないの? ……寧々が亡くなってからもう結構時間が経つじゃない。それでもいまだに彼女のお葬式が無いのはおかしいと思わなかったの? 」
 そういわれて初めて気づいた。俺自身、寧々が殺されてからはあまりに多くのことがありすぎた。寄生根との戦いに巻き込まれたりばかりで、その戦いにほとんどの時間を取られ、そこまで気が回らなかったんだ。

 ……彼女の死が、あまりに非現実的だったからかもしれないけれど。

「……遺体は司法解剖のために警察が引き取っているって聞いたから、まだ警察とか病院にいるんじゃないのか? 」
 と、ごく平凡な受け答えをする。

「そうよね。普通ならそう考えるわよね。……でもね、月人君は知らないでしょうけど、私と寧々は幼馴染だったの。家もごく近所だから、いろんな話が近所の噂で聞こえてくるの。……母親から聞いた話だけれど、司法解剖はとっくに終わっていて、遺体は近いうちに家族に返される予定だって連絡あったらしいんだけど、……その後、警察から遺体の引渡の日程の連絡がぜんぜん来なかったのそうなの。それで彼女の両親が心配して警察の担当の人に問い合わせたんだけれど、その担当者が不在とか、担当者に繋がっても現在決裁中で時間がかかるとか、上司から後で説明させてもらえないかとかいろいろ言われて、全然埒があかなかったそうなのよ」
 警察の事務処理でそんなことってあるのかと疑問を感じながら俺は話を聞いていた。
「あんまりに対応が悪いから、彼女のお父さんが怒って知り合いの弁護士に相談して、公安委員会に文書で苦情を申し出たらしいわ。それでやっと警察も重い腰をあげたんでしょうね、……その調査で分かったらしいんだけど、寧々の遺体はすでに何者かが安置所から運び出したらしいの。でも外部の人間では無いらしいわ。警察の説明では警察署内の安置所で厳重に管理されていたし、外部からの侵入者が運び出すことは物理的に不可能らしいけど、じゃ、なんで行方不明なのって聞いたら、全く分からないんだって。外部の人間が入り込めるはずがないはず。でも、どういうわけかいつの間にか無くなっていて、その原因は不明。管理上の問題があったのかもしれないし、内部の人間が取り違えたのかもしれない。でも記録が無いから誰がいつどうやって運んだかは現在調査中だからしばらく待って欲しいって言い切られたそうなの。どう考えたって杜撰な
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