第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
縁の糸が絡まりすぎて動けないとか
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害妄想だ」
いや勝手に貶めないでくれ、と言われても、実際に軍配が上がったのは珠希のほうである。
体育の実技授業という、男子にとって女子の前で「俺ってこんなことできるんだぜ」アピールするには一役買ってくれる場で、雅紀は同じクラスの、しかも運動部未経験の女子から一方的にフルボッコされたようなものなのだから。
「そいつは悪ぃな。あの女があそこまで暴れると思わなかったんだよ」
「そこは別に気にしてないよ。クラス委員としては、竜門さんがクラスの女子と付き合いがないのはヤバいと思ってたし。この程度の踏み台で済むなら軽いもんだろ」
「匂坂。お前、何気にちゃんとクラス委員してんだな」
「それは語弊がある言い方だな。でも女子のネットワークってのは無視できない存在だよ。まあ、広義的な一般社会ではそんなのなくても生きていけるけど、こういう狭い領域だとそうはいかないしね」
男子更衣室にむかう道すがら、雅紀のクラス委員としての観察眼に感心する昴と、思わぬ自身の対外評価に苦笑する雅紀だったが、不意にその足を止めた雅紀に、思わず昴も足を止める。
「まあ、何にせよ竜門さんの運動神経はたぶんクラス……いや学年でもトップクラスだろうね。スポーツをしないっていうのが不思議なくらい。けどそういうハイレベルな能力やセンスを持った子は時間が経てばこういう狭い領域だと疎まれて距離を置かれる。しかもそれは男よりも女のほうで顕著なんだ。これはどういうことかわかるだろ?」
――それがクラス委員の下す判断かよ。
珠希のフォローは全部俺任せとか、やっぱりこいつは基本的に仕事しないタイプのクラス委員だな、と三流舞台役者の認識を上書き更新した昴は小さく溜め息をついてぼやいた。
「……クソ。俺の肩の荷はまだ下りないのかよ」
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