第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
縁の糸が絡まりすぎて動けないとか
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ビーターとか」
「そのうえセンターサークル近くからだしな」
社会人やオリンピックなど女子バスケの試合自体がないわけではない。だがその試合映像を目にする機会がほとんどない状況で生きてきた昴たちにとって、センターサークル近くから、片手で、しかもバスケ部に入ったことのない女子がシュートを決めるのは衝撃的な光景に間違いなかった。
「……とりあえず、試合終わっちまったな」
「だな」
「俺たち、何かしたっけ?」
「竜門にパスしただろ」
「それだな」
そんなことを言いながらも、実際のところ自分たちはこの試合で何をしたかなどもはやどうでもよかった。実際のところは二人ともちゃんと珠希からシュートをアシストされているが、クラスメートの誰もを、授業監督をしていた体育教師ですら思わず手を止めて見入ってしまうほどのプレイを立て続けに見せた珠希には素直に昴も驚嘆していた。
そして授業終了後――。
「すっごい! すっっっごくない竜門さん?」
「え? あ、うん……。そうだった?」
「マジでバスケ部未経験なの?」
「うん。バスケ部に入ったことは、ないかな」
「今からでもバスケ部は言ったりしないの?」
「う、うん。放課後は何かと忙しいし。家の手伝いとか」
「えー。もったいないなぁ」
授業の冒頭に(柔軟体操の際の痛みによる)喘ぎ声をクラスメートにリスニングさせていた珠希は、その後の試合は控え目だったものの、圧巻のプレイ内容を褒めちぎるクラスメートの女子たちに囲まれるようにして女子更衣室に向かっていった。
むしろ、当の珠希本人が女子陣のテンションについていけていない。
しかしどうやら打ち解ける度合いは珠希も他の女子と変わらないようで、これをきっかけにクラス内に同性の友人の一人でもできてくれたらと思うと、昴はわずかだが肩の荷が下りた気がした。
――というのも束の間、その軽くなった昴の肩に今度は別の人間の手が置かれた。
「相武くん。ちょっと聞きたいことあるんだけど?」
「どうした匂坂。そんな疲れた顔して」
「たぶん君のせいだと思うよ」
「ああ、竜門のことか」
「わかってるんなら余計に原因は君だな」
昴の肩を叩いたのはモラハラ気味発言で有名な某部ちょ……ではなく、私立稜陽高等学校普通科1年C組のクラス委員の自称舞台役者。
多少の善意の背後に洒落にならないジョークを潜ませた演技を三流と珠希にこき下ろされ、その仕返しに柔軟体操で男子の夜のオカ○になるに十分な喘ぎ声――ただ、残念なのは苦痛バージョンであったこと――を珠希に上げさせたものの、その当人から壮絶な報復を受け取った男のなれの果てであった。
「あと、何か失礼なナレーションを脳内でしてるだろ?」
「たぶん気のせいだ。匂坂の被
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