第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
縁の糸が絡まりすぎて動けないとか
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のいるチームの初戦敗北をコートの外で黙って見届けていた珠希が、不意に昴にそんなことを尋ねてきた。
「なんでそんなこと聞くんだよ」
「んー。本気にも程度ってものがあるじゃない?」
「程度、か」
「それに……面倒なことになりたくないし」
珠希の言うその「面倒なこと」が「授業の後片付け」ではなかったことを後々昴は悔やむことになるのだが、とにかく初戦を落とし、かといってこのまま負けを重ねて授業の後片付けまでしたくなかった現状、後先考えずこう返してしまった。
「とりあえずお前は雅紀にリベンジするんだろ? やるなら徹底的にやってこいよ」
………………
…………
……
昴の言葉を額面通りに受け取った珠希の行動は、それはもう見事だった。
パスを受け取った雅紀からターンオーバーを奪い、そのまま速攻。独走状態のままゴール下からシュートを決めて2点。
続いて雅紀へ放たれたパスをカットすると、フリーで相手ゴール前に走り込んでいたサッカー部員のチームメートにピンポイントでロブパスを送り、アシストまでしてみせる。
しかもパスのタイミングで走り込んでいたチームメートのほうを全く見ていない、いやゆるノールックパスだった。
「……なあ相武くん」
「なんだ?」
「竜門さんって、バスケ部未経験だって言ってたよな?」
「ああ、そうだな」
だからといってバスケをまったくやったことがない、と言えば嘘になるレベルだ。
昴も、昴に声をかけてきた野球部員のチームメートもそれは同じである。バスケくらい、体育の実技授業でやったことが一回や二回はある。
だがこの二人、小学校時代――当時小2の珠希が小6男子相手にバスケで無双したことを知らない。知らない結果が、これだった。
「それでもあのスキルはハンパなくね?」
「俺もこの展開は予想外だった」
顔色ひとつ変えず、設定された試合時間6分の中、一人で20点近く稼いでいる。しかも独断専行の王様プレイなどせず、ちゃんとチームメートにパスも送ってだ。
そんな二人の会話の途中、再び声が上がった。主に男子から。
「……マジで?」
「……マジで」
相手チームの雅紀含めたクラス全員の視線の先、珠希の放ったシュートは体育館の照明にぶつかるかと思うほど高い放物線を描いてゴールに吸い込まれていく。
しかも当のシューターは眉ひとつ動かさず、珠希を相手していた雅紀たちは呆然とする中、結果は紛れもない事実として昴たちのチームの得点に+3されていた。
ちなみに珠希の髪色は赤茶けており、黒縁眼鏡などかけていない。
「俺初めて見たわ。女子が片手で3P決めるの」
「俺もだよ」
「しかもブザー
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