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竜門珠希は『普通』になれない
第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
縁の糸が絡まりすぎて動けないとか
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グアウトの内容が偽らざる事実であったと確信する。
 何しろ、当の本人が基本的に発汗吸湿性能優先のために生地が薄い体育着であるということすら忘れ、横になっても隠しきれない膨らみをゆっくり上下させている。そこに紅潮した顔と潤んだ瞳、艶めいた唇からは短く荒れた呼吸音が漏れているのだから、思春期の男子に向けてこれに反応するなというほうが厳しい内容だ。

 某「歩くセ×ロス」を三次元化したら限りなくこれに近づくのではないだろうか。
 当の珠希はラクロスもセク×スもやったことはないが。

「ほら竜門。手ぇ貸してやる」
「んふ……ぅ」
「情けねえ声出すなバカ」

 あまりの痴態(嘘偽りない表現)を見てられなくなった昴が助け舟を出そうと手を差し伸べると、自分の無防備っぷりに自覚すらない珠希はどこか甘えたような声で昴の手を握ってきた。

 ……この女、やっぱ何かズレてんだよなぁ。

 珠希の痴態をチラ見していた男子たちとは別の視点で、その痴態に呆れるしかなかった昴は一気に力を入れて珠希の身体を腕一本で持ち上げる。


「っあー。痛かったぁ……」
「匂坂の奴、容赦なかったしな」
「ん。もうね、アソコが裂けるかと思った」

 そう言いながら、昴のすぐ目の前で珠希はモソモソとジャージのボトムをあちこちまさぐり始めた。

「お前な、そういうのは(ヤロウ)が見てないところでやれ」
「いや、だってキモチ悪いじゃん? 食い込むと」
「だからこそそういうのは男が――いや、誰も見てないところでやれ」

 ……この女、やっぱ何かズレてんだよなぁ。主に性的な方向に。

 はたして羞恥心というものを持っているのかと首を傾げたくなるほど普段は無防備な癖に、向けられる悪意には敏感。しかしながらそれに対する攻撃力は尋常ならざるものを持つ少女の捉えどころのなさに、昴は呆れ混じりの溜め息を腹の底から思い切り吐き出す。

「よしっ。これでオッケー」

 やっと気持ち悪くないパンツのポジションが決まったのか、どこかすっきりした面持ちになった珠希を見て、昴はやっとお守りから解放されたかと安堵した――が、それも束の間。

「さて、とりあえず匂坂くんには報復を考えようと思うんだけど」
「お前何も懲りてねぇのな!」

 こうやって報復合戦(あらそい)は人種を、国境を、時代や世代を超えて受け継がれていくんだな、とひとつ賢くなってしまった昴。


 けれど、そもそも、経緯を振り返ればこうなった元凶は(コイツ)のはずなのに――とかいうツッコミはナシだ。
 肝心の珠希の頭の中が既に雅紀への報復しかない時点でもう、何か色々とダメだった。


「ここで退いたらただの腑抜けじゃん。飛べない豚はただの豚だよ」
「今のお前を的確に表現して
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