第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
縁の糸が絡まりすぎて動けないとか
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ら声がかけられる。
「ねえ竜門さん。よかったら……なんだけど」
明らかに女子の声ではなかったけれど、男子の声だったけれど、それでもこのままぼっちよりはマシだと振り返った先には、珠希もよく知る数少ないクラスメートの顔があった。
「えっとさ、なんか知らないけど隣からおかしなオーラで出始めてるから、一緒に柔軟体操やらない?」
「おい匂坂。誰が変なオーラ出してるって? あ?」
「いや君だよ? この場で相武くん以外誰がいるんだよ?」
「あ? 勝手なことぬかすんじゃねぇぞ」
明らかに険悪なオーラを全身から放出する昴を喩えるなら悪霊のごとく左後ろに憑りつかせ、スクールカーストの階層を自由自在に移動するクラス委員である匂坂雅紀は、さくっと無理難題をスクールカーストの制度対象外の少女に吹っかけてきた。
「ってわけで竜門さん。彼のブレーキ役を頼めないかな?」
「いやいやいやいや……。それってあたし生贄じゃん。ブレーキ役じゃないじゃん!」
「生贄じゃないよ。人柱だよ。人身御供ともいうけど」
「役割的には全部同じだよっ!」
珠希のツッコミを無視し、さらりと言葉を言い換えただけの雅紀は本質的な部分を全く否定せずに話を進めていく。
まったく、人当たりのよさそうな表情と雰囲気を醸し出せることもあって、将来は口八丁手八丁の詐欺師がお似合いではないか。
「でも竜門さん。そうじゃないと他のクラスメートが相武くんに委縮するんだよねえ」
「だからってあたしの身の安全は――」
「じゃあここは民主主義的に決めようか」
「民主主義的ってーと?」
「多数決」
「だろうね。そうだと思ったよ」
民主主義的。
この世の数多の民主主義を採用する法治国家内において、なんと甘美で強大な権力を持つ単語だろうか。実際は何の法律にも則っていないことが多いにもかかわらず、それはまるでアリから見上げるゾウのごとく巨大な意思と威圧をもって牽制してくる。
けれどそれはあくまで大多数という大樹の陰に隠れられる者たちのための言葉だ。
「で、あたしの屍を超えていけってか?」
「わかってるじゃん。そのゲームそれなりに面白かったし」
「全然わかってないし! てか方向性さりげなく変えないでくんない?」
悪いけど、あたしは匂坂くんのゲームの趣味嗜好なんてこれっっっぽっちも聞いちゃいねーんですよ。
てかその作品、もう8年近く前(201×年現在)になるんですけど。
「コラ竜門。せっかくの匂坂の好意を無碍にするのか?」
「えっ? 怒られるのあたしですか?」
「大丈夫だよ竜門さん。俺は何もやらしいこと考えてないし」
「そこで清廉潔白な聖人ぶるのが余計に怪
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