第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
縁の糸が絡まりすぎて動けないとか
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――翌日。
「よーし、それじゃあペア組んで柔軟体操」
体育教師の一声に、生徒たちがめいめいにペアを組んでストレッチを始めるという、よくある体育の授業開始前の一コマ。
――けどその一言、結構“ぼっち”には死亡フラグ立てかねない言葉です。
男女別にして五十音順に並べたところで、お互いのことを知らないと、たとえ同性でもお互い触れ合うのも遠慮してしまうというもの。
遠慮し合うのならまだしも、仮に、万が一、(イジメレベルの)嫌がらせでもあろうものなら容赦ない“しごき”が待っているというのに。
「あ、あのー……」
そして現在――1年C組の体育の授業の冒頭、さっそくペアを組む相手がいない珠希はなるべく目立たないように体育教師に自己申告をする。
「ん? どうした竜門」
「えっと……、ペアの相手がいません」
なお1年C組在籍の36名中、女子生徒は16名。
計算上、ペアは8組できるはずである。――珠希を覗いた15人のうち、1名が欠席して2人が気怠そうに「オンナノコノヒ」を訴えなければ、だが。
いや、別に本気で酷い人は動けないくらい酷いから理解していないわけではないし、珠希にもいずれ巡ってくるものだから理解も共感もできないわけではない。だがその「オンナノコノヒ」を訴えた2名が授業直前まで更衣室で腹を抱えて大笑いしているのを目撃していて、今も見学者スペースから元気そうな声を上げているのを見ると、なんか腑に落ちない。
……いや、別に、何か不満があるとすれば、何もここで“ぼっち”の特殊スキル発動する必要もないんじゃないかなー、と思わず自分の運の無さを呪ってみたくなるくらいで。
「それじゃ仕方ないな。誰か仲のいい奴のペアに混じってくれ」
「あぅ……」
「どうした? まだ何かあるか竜門?」
「……い、いえ何も――」
――ないわけないし!
ってか、“誰か仲のいい奴”って単語は余計じゃボケ!!
心が○びたがっていたらきっとそんなぼっちの絶叫を体育館に響かせていたであろう珠希は、口の端が引き攣っているのも気づかず、適当にペアに混ぜてくれそうな女子を探そうとするが――。
「………………あ、あれっ?」
なぜか全員から目をそらされる。次々と。
運動部系からも、文化部系からも、ギャル系やサブカル系からも。
あっれー?
あたし、ここまでクラスの女子から嫌われてました?
てかむしろいつの間にこんなに強大な(あたし抜きの)ネットワークができてたんだろ?
これは確実にクラス女子全員のLI○Eグループ(あたし抜きの)結成されてるわ。
小心者の猜疑心が精神状態をおかしな方向に走らせている中、不意に珠希の背後か
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