SS編 心身
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じゃないです。サバタさんは時々ですが、世紀末世界に想いを馳せていました。それで私は世紀末世界に未練か何かがあるのか尋ねたら、一人心配な奴がいると教えてくれました。そこにザジさん、あなたの名前が出てきました」
「……」
「それでサバタさんはこう続けました。『もし奇跡でも起きてこの命が続いてくれるなら、命の限り彼女を守り続けるつもりだ』と。ザジさん……あなたはサバタさんの“いつか帰るところ”だったんです。寿命はともかく、あなたの下へ帰りたいという気持ちは、サバタさんの胸に確かにあったんだと思います。その気持ちがあったからサバタさんは最後まで道を見誤らずにいて、最終的に異次元空間に飲み込まれた私を最後の力でここに連れて来てくれた。……だから……あなたは愛されていたんです。それを伝えるために、私はここに来たんだと確信しました」
「…………なん……でや……! いまさら教えられても……どうしようもないやんか……! サバタ……サバタぁ……! 会いたい……会いたいよ……! 会って、あんたが好きやって、ちゃんと伝えたかったよぉ……! あ、ああ……わあぁぁぁ!!!!」
うずくまって号泣するザジさんを、傍にいたリタが抱き寄せる。あえてザジさん達にサバタさんの事を話さず、この世界なりの暮らしを営む選択もあったんだろうけど、彼の生き様を彼と生きた人達に伝えないのは心情的に嫌だった。だから世紀末世界に来た時点で、私はメッセンジャーの役割を担うつもりでいた。真相を聞いたらザジさんが傷つくとわかっていても、彼女が前に進むためには受け入れなくてはならない。そして……私は私で伝えた責任を負おう。
「皆さん、すみませんが私をサン・ミゲルに住まわせてください。炊事、洗濯、料理、掃除、裁縫、他にも色々こなせますので、お願いします」
「心配しなくても、サバタに救われた者を放りだす真似なんて誰もしないよ。とりあえず僕のホームに住んでもらうけど、それでいいかな?」
「はい、ありがとうございますジャンゴさん。皆さん、不束者ですがよろしくお願いします!」
こうして私はジャンゴさんのホームに定住し、皆の仕事の手伝いをする事になった。
【楽園のから騒ぎ】
〜〜Side of サバタ〜〜
ここはあの世というか、月の楽園と似た様式で作られた宮殿。そこで俺は……体育座りでとある光景を見ていた。
「クラウス……嘘ですよね? 私の知らない間に恋人を作っただなんて……」
「恋人ではなく、生涯の伴侶です。いくらヴィヴィでも、そこは間違えないでいただきたい。あなたがいなくなった後、俺は生涯添い遂げたいという女性と出会えた。あなたへ抱いていた想いも確かに本物でしたが、今や既に過去のモノ。だからこの俺にとって、あなたはもう“想い人”ではなく“お
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