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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三話 慟哭そして報復の誓い
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その日、俺はいつもどおり学校に行き授業を受けた。昨日と同じ一日だった。
その知らせが来るまでは……。
「エーリッヒ・ヴァレンシュタイン」
授業も終わり、帰宅しようと廊下を歩いていた俺を呼び止めたのは、ベック校長の声だった。校長の脇には見慣れない男がいた。40代後半くらいか。俺の方をじっと見ている。
「何でしょう。校長先生」
「ああ、そのだね、その落ち着いて聞いて欲しいんだが……」
校長は口篭もると横にいた男に視線を移した。俺もつられて男を見る。男は一歩俺の方へ足を進めると低い声で話し始めた。
「エーリッヒ君だね。私はザウリッシュ警部。警察のものだ。君の御両親が亡くなられた。私と一緒に来て欲しい」
「何言ってるのおじさん。嘘つくのは止めてよ」
「嘘じゃない。……少なくとも私が警官だと言うのは嘘じゃない」
そう言うと、男はスーツの内ポケットから身分証明書を出した。
「私と一緒に来て欲しい。いいね」
俺は何も言えず、ただうなずいた。
俺たち(俺とザウリッシュ警部)が向かったのは監察医病院だった。車の中で俺は一言も喋らなかった。いや喋れなかった。喋ったら両親が死んだ事が事実になりそうで喋らなかった。絶対嘘だ、人違いだ、そうに決まっている。
病院につくと、遺体安置所に連れて行かれた。安置所には既に人が三人いた。二人は知らなかった。多分警察だろう。しかし後の一人は俺の知る人間だった。ハインツ・ゲラー。俺の父と一緒に法律事務所を経営している人物だ。
「ハインツおじさん」
「エーリッヒ、来たのか。コンラートとヘレーネが……」
口篭もりながら、俺の両肩に手を乗せたハインツの目は真っ赤だった。嘘じゃないんだ、俺の胸を絶望が覆う。俺は助けを求めて部屋の中を見渡した。そして、幾つかのベッドに今更ながら気づく。その内二つのベッドに遺体が横たわっていた。遺体にはシーツが掛けられている。俺はハインツの手をはずすと遺体に向かって近づいた。
「エーリッヒ、見るんじゃない」
俺を引きとめようとするハインツを振り切ってベッドに近づく。シーツに手をかける。手が震えた、いや震えたのは手じゃない体そのものが震えていた。
「エーリッヒ、よせ」
なおも俺を取り押さえようとするハインツを振り払い、俺はシーツをめくった。父の遺体だった。目がくらんだ。どのくらい見ていたのだろう?。分らない。気付いたらもう一つの遺体の前にいた。俺はシーツをめくる。母の遺体ではないことを確認するためだ。母のはずが無い。そんなことはありえない。……母だった。
■ハインツ・ゲラー
エーリッヒは黙ってヘレーネの遺体を見ていた。止めさせなければいけない。二人の遺体は酷い有様だった。コンラートは酷い暴力を受けており、首の骨が折れていた。他にも肩や手足、肋骨が
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