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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三話 慟哭そして報復の誓い
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折れていた。そして胸に銃で撃たれた後がある。首が折れた時点で死んでいたろう。死体をさらに弄ったのだ。ヘレーネも酷かった。明らかに性的暴行を受けていた。服が破れ、顔にも殴られた痕がある。そしてやはり銃で胸を撃たれていた。二人とも顔は恐怖と絶望で引きつっていた。エーリッヒを止めなければ。だがその前にエーリッヒの声が耳に届いた。

「誰がやった。誰が父さんと母さんを殺した。誰が殺したんだ」
問いかけてからエーリッヒは静かに振り返った。私は答えられなかった。知らなかったからではない。知っていたからだ。
「知っているんだね、おじさん」

落ち着いた、静かな声だった。それなのに私はエーリッヒに恐怖を感じていた。子供なのに。
「エーリッヒ、落ち着いてくれ」
「誰なの!」
黙り込んだ私を睨んでいたエーリッヒはやがて呻き声を上げると両腕で顔を隠した。そして床にうずくまると泣き始めた。泣きながら床を叩き、コンラートとヘレーネを呼び、犯人への復讐を誓い続けた。慟哭そして報復の誓い。私は何も出来ず、ただ其処に立っていた。
 

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