第三章
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「君が結婚したらだ」
「その時はですか」
「二人で一緒にいる写真を送ってくれるか」
「わかりました、それじゃあ」
「その時に私はまだ相手はいないか」
「おられないですか」
「そう思う、まあどうなるかわからないがな」
先のことはというのだ。
「君の結婚は祝わせてもらうよ」
「そうしてくれますか」
「戦争が終わっても幸せにな」
あらためて言った彼だった、そして。
フルシコフは一年この基地で勤務したがだ、一年経った時に辞令が来た。今度の辞令はというと。
「今度は東だ」
「東っていいますと」
「ウラジオストクだ」
ロシアの東方での最大の軍事拠点だ、一大軍港都市である。
「あそこで巡洋艦に入ることになった」
「それはいいですね」
「ああ、それで君はだな」
「はい、兵役が終わるまでずっとです」
ボロゾフスキーは笑ってフルシコフに答えた。
「ここにいますから」
「そうだな、では携帯でお互いの番号は記録してあるしだ」
「連絡します」
「住所が変わればその都度知らせる」
勤務地が変わるごとに変わるそれもというのだ。
「そこに結婚したらな」
「はい、写真送らせてもらいますね」
「その時は私も結婚していればいいな」
「そうなってると思いますよ」
「だといいがな」
「では大尉」
あらためてだ、ボロゾフスキーはフルシコフに言った。
「お元気で」
「君もな」
お互いに敬礼をして別れた、そして。
フルシコフはウラジオストクに向かった、その地においてだ。
彼は上官に彼の自宅に招かれてそこで上官の知り合いの美しい娘と出会ってだ。その彼女と交際をはじめてだった。
結婚した、そのことを携帯でボロゾフスキーに連絡すると祝福の返事が来た。そして新居を構えて妻と共に住みはじめると。
ボロゾフスキーから手紙が来た、それは絵葉書でセーラー服ではなく民族衣装を着た彼と小柄なアジア系の女性が一緒に写っていた。
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