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真田十勇士
巻ノ二十四 鎌倉その十二

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「別にな」
「左様ですか」
「羽柴家は上方、しかもこれからどうなるかわからぬ」
「既に前右府殿の跡を継ぐ勢いとのことですが」
「それが出来るかどうかもじゃ」
 やはり何でもないといった調子で言う幸村だった。
「わからぬからな」
「だからですか」
「そうじゃ、御主達を上方に送るつもりはない」
「その余裕があればですか」
「東国に送る」
 風魔の者をというのだ。
「そうする」
「ですか、では」
「うむ、伊達家じゃ」
「既に徳川、上杉、佐竹等には送っていますし」
「特に徳川家にな」
「徳川家ですが」 
 風魔はここでは徳川家のことを言った。
「強いです」
「侍だけでなく、じゃな」
「忍もまた」
「伊賀者と甲賀者か」
「特に伊賀者がです」
「棟梁の服部半蔵だけでないな」
「その下にいる十二人の上忍達です」
 その彼等が、というのだ。
「あの者達はまさに一騎当千です」
「十二神将か」
「左様です、あの者達がいますので」
「そう簡単にはじゃな」
「我等も勝てませぬ」
「そうであろうな、風魔は確かに強い」
 自身の忍だけにだ、氏政もこのことはわかっている。
 そしてだからこそだ、こう風魔に言った。
「しかしな」
「伊賀もまた」
「互角といったところか」
「はい、相手に十二神将がいますが」
「それでもじゃな」
「力は互角です」
 それ位だというのだ。
「そしてだからこそです」
「互いに打ち合えばな」
「我等も只では済みませぬ」
「そうじゃな、それは忍だけでなくじゃ」 
 さらにとだ、ここでこう言った氏政だった。
「北条家自体がじゃ」
「徳川家と正面からぶつかれば」
「只では済まぬ」
「兵はこちらの方が多いですが」
「我等は六万、徳川は今は二万か」
「はい」
 徳川はそれだけの兵を出せるとだ、風魔も答えた。
「甲斐、信濃の兵も入れて」
「兵は三倍、しかしな」
「徳川には人がおります」
「家康殿だけではない」
 天下にその武辺を知られている、派手さはないがその采配は見事なもので知られ敗れても武田信玄と果敢に戦った勇も知られている。
「四天王にな」
「四天王を含めた十六神将」
「武辺者が揃っていて家康殿に絶対の忠を誓っています」
「ただ強いだけでなくまとまっている家じゃ」
「それだけに、ですな」
「あの家とは正面からぶつからぬ」
 北条の力の全てを使って、というのだ。
「そうして例え勝ってもな」
「我等の傷は深いものになりますな」
「そこを上杉だの佐竹だのに衝かれる」
「はい、上杉も三万の兵がいて二十五将のうちまだ残っている方と」
「景勝殿も強い」
 謙信の跡を継いだ彼もというのだ。
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