08.ケッコン談義
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気で言えるクマか?!」
キソーさんと球磨の姉妹喧嘩が続く。二人とも睨み合って一歩も引かない。球磨に至っては『がるるるるる』という唸り声すら聞こえてきそうな雰囲気だ。
「いつもの事です。ほっといたらそのうち収まりますよ」
「そうなの?」
「喧嘩するほどなんとやら……です」
二人の噛みつき合いを見ていると今にもどつきあいが始まりそうな感じだが、落ち着き払った加賀さんがそういうのならそうなのだろう……という妙な説得力があった。
「……あなたが悩んでいるのは、先ほど球磨が言った理由が主なんですか?」
加賀さんが言うとおり、僕が思っていたことを球磨が代弁してくれた。戦いの切り札としてケッコン指輪を扱うことにも抵抗はあるが、正直それよりも、僕がこの世界の人間ではないというところが一番問題だ。きっとぼくは、指輪を渡してしまえば元の世界に戻ってしまう。元の世界に戻れば、再び姉ちゃんに会えるかどうかはわからない。それでも、姉ちゃんに指輪を渡していいのか。後に残された姉ちゃんはどうなる? 再び離れ離れになる人に、こんな大切な指輪を渡していいのか?
悪い言い方をすれば、ケッコン指輪とは、その人の人生を縛る鎖でもある。二度と会えないかもしれない僕との絆で、こちらの世界で姉ちゃんの人生を縛ってしまってもいいのか……何度考えても答えが出ない。決断出来ない根本の理由はここにある。
「なるほど……確かに難しい問題です。色恋は私には……」
心持ち、加賀さんの顔が少し赤くなった気がする。話の内容が内容だけに、照れているのかも知れない。
「oh……これはプレミアムなシチュエーションネ。加賀が照れてマース」
「そ、そんなこと……ないですよッ」
金剛さんがニヤニヤ顔で加賀さんをからかうが、その後すぐにぼくをまっすぐに見据え、笑顔でこう言った。
「シュウくん、知ってマスカ? シュウくんのことを話す比叡は、いつもとっても楽しそうデシタ。いつも笑顔で、ニコニコ笑って話してマシタ」
金剛さんの話を聞いて、僕の家でいつもお日様のような笑顔で僕に接してくれていた姉ちゃんを思い出した。姉ちゃんは、いつも本当に楽しそうに毎日を送る人だった。
「比叡は今、シュウくんに会いたい一心でがんばってマス。ワタシとテートクがあきつ丸に感謝って言ってたのは、これが理由デス。あの時、比叡は心が折れてまシタ。その比叡を蘇らせてくれたのがシュウくんデス。それぐらい、比叡にとってシュウくんは、とてもとても大切な人デス」
分からなかった……姉ちゃんと通信したとき、確かに姉ちゃんは僕の声を聞くまで切羽詰まってる感じがしていた。でも、まさかあの姉ちゃんが心が折れていたなんて……でもそれじゃあ僕は、益々指輪を渡すことが出来ない。
「逆
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