第五章
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しかしバグパイプの一団が行進しつつ来たのを見てだ、彼は目を輝かせて言った。
「あっ、遂にだね」
「そう、あれがね」
「キルトだよ」
クラスメイト達も言う、上は黒のブレザーに蝶ネクタイとブラウスだが下は緑と青、白のタータンチェックの短いスカートだ。そこに靴と靴下、それに赤いウエストバッグがある。
頭には羽根飾りのある縁のない帽子を被っている、そしてバグパイプを吹きながら行進をしている。その先頭には。
この辺りの顔役のスティーブ=マックアーサーもいる。白い口髭の彼もまたキルトを着てバグパイプを吹いているのを見て言った。
「マックアーサーさんも参加しているんだ」
「毎年だよ」
「あの人は代々この街に住んでるからね」
「だからね」
「ああしてこのお祭りでは毎年だよ」
「キルト着て参加しているんだよ」
バグパイプの行進にというのだ。
「実はあの人が一番バグパイプ上手なんだよ」
「この辺りでさ」
「もうその吹奏がよくて」
「先頭にいるんだよ」
「そうなんだね、いやキルトを見られて」
その念願が適ったことから言うピエールだった。
「それにいいバグパイプも聴けて」
「満足している」
「そう言うんだね」
「うん、とてもね」
実際にとだ、ピエールは答えた。
「最高の気分だよ」
「じゃあ最高の気分のままね」
「次はハギスだよ」
「それにしよう」
「どんなの?ハギスって」
こちらについてはだ、ピエールはまだ首を傾げさせている。
「それで」
「もうすぐわかるよ」
「一体どんなものか」
「そうなんだ、それじゃあ」
ピエールは今度はそのハギスを見ることになった、そして。
羊の胃の中に羊の臓物や玉葱等を入れたそれを見て食べてだ、彼は眉を顰めさせてこうしたことを言った。
「こっちはがっかりだよ」
「スコットランドの代表的な料理はだね」
「そう言うんだね」
「キルトやバグパイプとは違ってね」
そうだというのだった、こちらについては。
キルト 完
2015・12・28
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