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バイキングの服
第三章

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「実際にね」
「あれっ、そうなんですか」
「角なかったんですか」
「映画とか漫画じゃよく兜に角ありますけれど」
「なかったんですね」
「戦いの時腕を振り上げたら邪魔になるからね」
 それでというのだ。
「角はなかったんだ、兜にね」
「ううん、バイキングは角なのに」
「本当は角がなかったって」
「斧もバトルアックスじゃないし」
「あの斧は敵の舟に引っ掛けて引き寄せるものでもあるからね」
 戦うと共にというのだ。
「その敵の舟に乗り込む為に」
「それでバトルアックスじゃなくて」
「ああしてですか」
「引っ掛けるところのある片刃だったんですね」
「そうだよ、剣も片手に盾を持ってね」
 その丸い盾をだ。
「もう一方の手で戦うものだったんだ」
「片刃じゃなくて」
「そうだったんですか」
「何か片刃であるってイメージありましたけれど」
「それもですね」
「実際はこうだったんですね」
「そう、あと盾は舟の上でも使えて舟の横に置いて矢を防ぐ為でもあるから」
 その役割もあってというのだ。
「舟の上でも持ち運びやすい形になっているんだ」
「だから丸いんですね」
「盾の形が」
「うん、バイキングはシンプルなんだ」
 それがバイキングの特色だというのだ。
「戦いにあたって無駄なものを省いたんだ」
「角とかもですか」
「そうしたものもなくて」
「あくまで戦いを優先させていた」
「そうしたものでしたか」
「それがバイキングだったんだ」
 こうもだ、笑顔で話したのだった。
「実際のね」
「ううん、シンプルで思ったより小さくて」
「何かイメージと違いますね」
「角もないし」
「そこは」
「僕も最初は驚いたよ」
 デルクセンにしてもというのだ。
「思っていたのと違うからね」
「先生もですか」
「そうだったんですか」
「うん、あまりにも違っていたから」
 それ故にというのだ。
「今の皆と同じだよ、けれど言われていることと実際は違う」
「先生昨日言ってましたけれど」
「バイキングもそうで」
「それは大きさとか兜もですね」
「そうなんですね」
「そういうことだよ、言われていることと現実は違う」
 また言ったデルクセンだった。
「このことは覚えておいてね」
「はい、わかりました」
「僕達も覚えておきます」
 生徒達はデルクセンの言葉に頷いた、そのうえでバイキングについての資料を観ていった。その現実の彼等を。言われていることと現実は違うということをその心に刻みながら。


バイキングの兜   完


                            2015・12・27
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