2部分:第二章
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第二章
「ここもラップばかりだよな」
「うちの店は基本的に流行りのものを出す店ですからね」
「だからラップなんだな」
「はい、そうです」
「そうだよな。制服なあ」
「まあ制服って言いましたけれど」
店員は自分の言葉からさらに話す。
「うちの店の流行りものはその都度変わっていまして」
「流行はいつも変わるからだよな」
「何でも三十年近く前はですね」
「その頃は?」
「ほら、チェッカーズってグループがありまして」
八十年代に一時代を築いたグループだ。七人組のバンドでありその歌は今も残っている。店員はそのグループの話をだ。ここで出してきたのだ。
そのグループのことをだ。店員は大輔に話す。
「その頃はチェックの服ばかりだったんですよ」
「チェック?」
「タートンチェックです。女のこの制服のスカートによくある」
「ああ、あんな感じのチェックか」
「その服がね。飛ぶ様に揺れて」
それが流行っていたというのだ。八十年代は。
「凄かったんですよ」
「チェックか」
「それ見てみます?当時のカタログ残ってますよ」
「雑誌とかは?」
「はい、そちらも」
残っているとだ。店員は大輔にここでも親切に話す。
「残ってますよ」
「そういうのはいつも勉強する主義でして」
「おじさん凄い人だな」
その店員の言葉を聞いてだ。大輔も驚きを隠せない。そこに彼の心を見たからだ。
「そこまでしてるんだな」
「服は文化ですからね。流行も」
「だからか」
「はい、それで勉強の為にも残してます」
「じゃあその頃の制服のカタログとかもか」
「残ってますよ。その中にはですね」
店員は大輔にさらに話した。
「所謂不良の服もあります」
「不良?ああ、俺みたいな奴か」
「所謂ツッパリですね。まあ今ではその頃の不良もいないですが」
「どんな格好だったんだよ、その頃の俺みたいなのは」
「お客さんは特に不良でもないと思いますけれど」
ピアスも何もしていない。服もだらしなくはあるがそこまでは行かない。だから言うのだった。
「まあそれでもですね」
「ああ、不良の服のカタログ見せてくれるか?」
「はい、それじゃあ」
こうしてだった。大輔は店員に八十年代の不良の学生服のカタログを見せてもらった。そこにはだ。彼の全く知らないものが多くあった。何とだ。
短いものだけでなく長いものもあった。一メートルを超える丈に五センチのカラー、それに袖ボタンは五つだ。そして黒い詰襟のものだけではなくだ。
白いものもあった。その白い詰襟を見てだ。大輔は店員に言った。
「海上自衛隊の制服だよな」
「夏の礼服ですね」
「俺の叔父さん海自だから見たことあるんだよ」
それでその白い詰襟は知っていたのである。
「それだよな」
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